二十四日目
ライムさんとロンの無事を確認し、リクが俺に対して行き場のない怒りをぶつけ、シンさんからは謝罪の言葉と共にお詫びを頂いた。ライムさんとロンは平和で静かな場所へ家を貰い、リクと俺は元の世界へ特別に返して貰えるそうだ。今日は帰還の前日である。
「……リク、明日帰れるらしいけど、どうよ」
「すっげー清々しい気分。あっち戻ったら、理想のエテルニテを探すよ。それで、もう二度と離れない様にしなきゃな。うん、それがいい」
めっちゃ怖い。こんなヤバイ奴と旅してたのか、俺。
「……あと一個、俺ら貰えるらしいけど」
ライムさんは薬調合セット、ロンは遊び道具を頼むらしい。俺は……どうしよう。この世界の地図かな。うん、記念にそうしよう。
「あー、俺はもう貰ってる。それなりの代償はあるけどな」
リクさん早過ぎないか? いつシンさんと会話してたんだろう。色々ツッコミ所はあるけどもう眠いしいつかで良いや。もう、寝よう。どうせ帰ればリクとはいつ会うか分からないし。
「二人共、さようなら」
「もうこっち来ないで良いですからねぇ」
「母ちゃんってば泣いてるぞ!! 二人共! また会おうな! 遊ぼうな!!絶対だぞ!!!」
シンさんの落ち着いた声と、口調とは裏腹に泣いているライムさんと、意外と笑顔なロンに見送られ、俺とリクは元の世界へ戻れるというゲートへの入り口に片足を掛けた。意外とドキドキするな。
「なぁ、」
リクが突然声をかけてきた。
「元の世界戻ったら、本名くらい教えろよ」
「お前もな」
お互いの顔を見合わせニヤリと口角を上げた後、二人で勢いよく入り口に飛び込んだ。
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