三十二日目②

※残酷描写注意※


「エテルニテは、美しいな」


 死にそうになっても尚、気高く在ろうとするエテルニテを見た俺の率直な感想が、つい口から溢れてしまった。


「あ~ぁ、バッカらしいったらありゃしない。サッサと枯れろ、雑草が」


 飽きたような、呆れたような。そんな声が聞こえたと思うと、エテルニテの首が飛ん だ。床に落ちた首を狂ったように何度か踏み付け、ふと、電池が切れたようにピタリと止まった。コイツは、誰だ。


「アッハッハ……ゴミ人間如きが僕の事見ないでくれる? 凄い不快」


「えー……と。ローイさん、ですか」


 目の前にいる青年は、長めの黒髪を後ろで緩く三つ編みにして、右頬の下に星のアザ……? のようなものがある。そして、目の色は先程迄のローイとは違い、引き込まれそうな赤い瞳をしていた。


「ローイなんていうダッサイ名前で呼ばないでくれる? 僕にはロイコ・ブラッグっていう崇高な名前が有るんだけど」


 いや、知らねえよ。という言葉は必死に飲み込んだ。


「……はぁ……やっぱり、人間如き低脳な種族がお兄ちゃんを知ってる訳が無いよね」


「誰か、探してるのか?」


「ブラッド・ブラッグっていう僕と似た……いや、僕より背が高くて美しくて僕の反対側の頬にナミダマークがある儚げかつミステリアスな雰囲気の中に漂うエロスを持った……完璧で高貴な人。まあ、お前なんかが知ってる訳ないよな。うんうん」


 あ、この人以外とチョロいのかもしれない。扱い易いのかもしれない。


「エテルニテッ!!」


 バンッという強い力で、扉が開かれた音がした。

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