何度読み返しても、ほっこりさせられてしまう。これは単なるラブコメディではない。視点の交錯が愛の本質を照らす、稀有な物語だ。
前編は主人公・聡一の目線で描かれる。彼は「悪」をこよなく愛し、銀髪の同級生・凛々花を「ボッチ」にしないよう、わざと嫌がらせを続ける――その裏には、誰も彼女に近づかない教室で、自分だけが彼女の隣にいるという思惑があった。
後編は凛々花の目線に切り替わる。彼女にとって聡一の「イジメ」は、すべてが「幸福」だった。誰も話しかけない教室で、彼だけが声をかけ、彼だけが目を合わせ、彼だけが自分の存在を「無視しない」――それだけで、彼女は心を救われていた。
「すれ違っているようで、実はまったくすれ違っていない」この作品の真髄は、そこに集約される。二人の解釈は真逆だが、その距離感こそが、互いを支え続けた「愛の力学」そのもの。甘々で、キュンキュンさせられ、そして驚くほどリアルだ。
アニメ化30分でも、十分にその世界観と感情の重みは伝わる。むしろ、声のトーン、間の取り方、小さな仕草の描写――アニメならではの表現で、この物語の良さをさらに深く、観る者の心に染み込んでいくだろう。
長編小説化、コミカライズ、アニメ化――「この物語を、もっと多くの人に届けたい」という声が止まないのは、当然のことじゃないか?