第30話「いつメンと年越し」
――翌朝。
俺は父さんからの着信で目を覚ました。
「はい、もしもし……」
眼を擦りながら電話に出る。
半分寝ている俺とは裏腹に鼓膜を突き破って来そうなほど元気な父さんの声が聞こえてくる。
『我が愛しの息子よぉ! 元気にしてるかぁ!』
なんでそんなに元気なんだよ。
今の時間そっちは深夜とかだろ。
「元気なわけあるか。父さんの着信で起きたところなんだけど」
『アッハッハ! それはすまんかったなぁ!』
「それで、何の用?」
『見たぞ』
「なにを?」
『ビデオメッセージ』
この瞬間、俺の目は完全に覚めた。
そうだった。
昨日、ビデオメッセージを送ったんだった。あの恥かしい内容のビデオメッセージを!
くぅぅ……やっぱりあれは夢じゃなかったのかぁ……。
電話越しに父さんが笑いをこらえているのを感じ取れる。
くっそぉ、絶対に面白がってる。
俺は恐る恐る聞く。
「どう、だった?」
『そりゃあ、最高よ! 父さんと母さんと同じくらいラブラブだったなぁ! アッハッハ!』
なんか張り合ってきた。
たしかに父さんと母さんも仲良かったイメージはあるな。そうでなきゃ、息子を置いて2人でロシアに行かないでしょ。
「父さん、あのビデオメッセージのことは忘れてくれ」
『えぇ~どうしよっかなぁ~』
子供か!
父さんめ、俺のことをからかって楽しんでやがる。
反撃したくても、父さんは無敵すぎるんだよ。
「昨日は俺もどうかしてたんだよ……たぶん」
『ははっ、愛する息子で遊ぶのはこのくらいにしてやるか』
「ありがとう」
ようやく父さんの攻撃は終わった。
朝からドッと疲労が溜まってしまった気がする。
『まぁ、今は冗談でからかったけど、父さんも本当は心配してたんだぞ?』
「心配?」
意外だ。
常に明るい人だから心配なんて微塵もしていないと思っていた。
『いくら昔結婚を約束した仲だって言っても、会うのは久しぶりだったわけで。仲良くできるかなぁって父親なりに心配していたんだよ』
「そうだったのか」
『まあ、そんな心配必要ないくらいイチャイチャしてるみたいだけどな!』
「だから忘れろってぇ~」
『すまんすまん。とりあえず2人が仲良くやっていることが分かって安心したよ。それじゃあ、また何かあったら連絡してくれ』
「うん、わかった。またね」
最後まで息子を茶化していったな、あの父親は。
電話越しでこんなにからかってくるんだから次会った時、めちゃくちゃ言ってくるんだろうな。想像しただけで疲れる。
まあ、父さんのお陰で今、俺はアリナと一緒にいれるわけだし、少しだけ、本当に少しだけは感謝しとくかな。
(もう目が完全に覚めたし、二度寝は諦めよう)
もう外も明るくなっていたので、起き上がるついでにアリナも起こそうと横を向くと、アリナは綺麗で大きな目をぱっちりと開き、俺のことを見つめていた。
「うわあっ! いつから起きてたの?」
「翔くんが翔くんのお父さんからの電話に出た時くらいかな」
「あれ、全部見られてたのか」
「ふふっ、本当に仲の良い親子なんですね」
「茶化されてただけなんだけどね」
「いいじゃないですか」
こうして、朝から疲れた状態で俺はアリナと一緒にベッドから起き上がり、リビングへと向かった。
*****
「翔くん、またスマホが鳴ってますよ?」
「また父さんかな」
リビングに着き、朝食の用意をしようと思っていたところで俺のスマホに再び着信が掛かってきた。
次は何の用だろうかと、スマホの画面を見るとそこには父さんではなく、『カズ』の名前が映し出されていた。
俺はすぐに電話に出た。
「カズ、こんな朝からどうした?」
『翔と桜花さんは大晦日の予定ってある?』
「いや、今のところは特にないけど」
『俺と夏海を含めた4人で年越ししないか?』
4人で年越しか。
たしかにいいかもしれないな。
とりあえず、アリナにも許可を得ないとな。
アリナの方を向くと、アリナは俺たちの会話が聞こえていたらしく、もの凄い速さで首をブンブンと縦に振っていた。
そんなに勢いよく首を振ると、痛めちゃうよ。
「アリナもオッケーだってさ」
『お、マジ? 場所は翔たちの家でもいい?』
「ああ、問題ないよ」
『ありがとう! それじゃあ、大晦日の夜にそっち行くわ!』
「おう、待ってる」
なんだかんだ友達と一緒に年越しするのは初めてかもしれないな。
毎年家族で年越しを迎えていたからな。
……あ、そういえば、夏海は毎年いたな。
幼馴染だし、家は隣だしな。
「大晦日に夏海とカズがこっち来るってさ」
たぶん聞こえていたと思うけど、一応アリナに伝えた。
「はいっ! 楽しみです!」
「みんなと一緒に年を越せるのは良いよね」
「はいっ、私もそう思います!」
アリナもかなり楽しみにしてくれているようで、かなり上機嫌だ。
いつも通り……いや、いつも以上に可愛い笑顔を見せてくれている。
「大晦日までに色々と準備しなくちゃな」
「私も手伝いますね」
「うん、ありがとう」
さて、準備することがたくさんだ。
俺とアリナは最高の年越しにするために準備するものなどを一緒に調べ始めた。
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