第7話 青春
超未熟児で生れた為か、しょっちゅう熱を出した。
風邪をひいて病院へ、そのあと中耳炎になり耳鼻科に行き、
夏には結膜炎になる始末。
疲れたと思ったらすぐに熱がでてしまい、
楽しみにしていた運動会も毎日の練習で、
疲れて当日熱を出して欠席なんて事もあった。
事故にあって無事に退院後も、病院の先生に痕が残るといけないとの指示で、
近所の整骨院に通うことになる。
そう、あの溺れて鯉と泳いだ所である。
あれ以来全く近づかなかったが、
仕方がない。
週に、3回、
1年以上マッサージやら電気治療やらで
必ず池の前を通らなければならなかった。
おかげで歩いたり走ったり何の不便もなく
皆と遊べるようになった。
冬美は、『元気にならねば』と考え、とてもよく食べるようになった。
毎日、朝、昼、夜と、ご飯やお味噌汁をお代わりして食べた。
風邪をひいても、高熱が出ても、もりもり食べた。
そのおかげか小さかった身体はぐんぐん成長して、小5になるころには
150センチ近くまで身長が伸びた。
クラスで1,2番の大きさになってしまい、春子からおかわり禁止令を
出される始末になった。
他の小学校では、ブルマだったが、冬美の学校では短パンだった。
それ故に、ブルマでは起きない事件?が起きた。
校庭で体育の授業中に、
クラスの男の子が近づいてきて
「パンツはみ出ている。デカパンツ~。」と言われた。
見たら、なんと短パンの下からパンツがかなりはみ出だしているではないか!。
よく熱を出す冬美は、体を冷やすといけないと、おなかとお尻まで
すっぽり隠れた大きいパンツ (デカパン)を穿いていたのだ。
身体が大きくなったため
短パンが小さくなっていたのを、
全く気がつかなかったのだ。
すぐその場でパンツを思い切りあげて
短パンをずりおろして、
その男の子を
『これ以上何も言うな』
と言わんばかりに睨み付け、その場を逃れたのであった。
友達のさゆりちゃんに好きな人が出来た。「この気持ちを伝えたい」、と相談された。
冬美は
「何か出来る事があったら協力するよ」と言った。
さゆりちゃんは嬉しそうに、こんなお願いをしてきた。
「放課後告白したいので、彼が一人になったら校舎裏に連れてきてほしいの。」
なかなかハードルが高いミッションだ。ほとんど男の子と話をしたことのない
冬美に、それを頼むとは・・・。
「わかった、まかせて!」
引き受けてしまった。
まず、若林君は一人でいることを見たことがない。
常に男女問わず、誰かに囲まれている。
冬美は、
只管彼が放課後一人になるのを待っていた。
夕暮れになっても教室で話をしている。
「まだ帰らないのか?みんなで帰り始めたら」どうしよう・・・。
さゆりちゃんはもう校舎裏でスタンバイしている。
なにもせず一人で座っているのがいいたたまれなくなった冬美は、
廊下に出てうろうろし始めた。
その時教室からみんなでぞろぞろクラスメイトが帰り始めた。
若林君はどこかな?と教室をのぞき込むと、奇跡的に机の付近にひとりでいた。
チャンス!冬美は近づいた。
彼は突然あらわれた冬美に、
驚いた顔でこっちを見た。
「若林君に話があるという女の子が校舎裏で待っているので来てくれない?」
と、早口でまくしたてた。
少し考えた様子で「わかった」と言い、
冬美の後ろについて、校舎の裏に二人で向かった。
さゆりちゃんが嬉しそうにこっちを見た。
私は目で『ファイト!』と訴え、その場を離れた。
校門で
さゆりちゃんがくるのをひたすら待った。
「ダメだった・・・」さゆりちゃんは戻ってきた後、「冬美ちゃんありがとね」
と、笑顔をみせてくれた。
何か言いたかったが、言葉が出てこなかった。
そのあと、いつものように二人で帰宅した。
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