少し未来の、ほかの地球で。

さとうのりこ

プロローグ

第1話

そうだな……とりあえず、この星の歴史を話そうか。

て言っても、昨日読んだ本の文章なんだけどね。


西暦4056年に、人間は「地球」という星を捨てて、環境の似ていたこの「第二地球星」へと移住してきた。

なんでも地球の資源がなくなったとかで……生活ができなくなったらしい。


人間は、この第二地球星に溢れる「天石」と呼ばれる鉱石に目をつけた。

ある国では、ひと欠片から莫大なエネルギーを発するそれと、もとより持っていた科学技術とを使って、兵器が作られた。

その兵器はやがて、その風貌から「天使」と名付けられた。

天使は、天力と呼ばれる力を操り……兵器でありながら、感情を持っていた。

そう、それはまるで――力を持った人間のような。


武力を持った国は権力を振りかざし、己の領地を広げようとする。

結局各国は新しい星で多くの領地を得るため競い合い……やがて、戦争を勃発させた。

彼らの国にとって、この発明はどれだけ大きなものだっただろうか。


結果、彼らの国は思うよりもずっと多くの領地を手に入れた。

しかし、その時に天使に植え付けられたのは、破壊への快楽。

そして、自分たちを機械として、兵器として、モノとして扱う人間への憎しみだった。

それから先は……わかるよね。

やがて人間は、滅ぼされた。


しかし、人間の代わりに、とでもいうように現れた生物もいた。

それが、僕達――いつしか「裏天使うらてんし」と呼ばれるようになった存在。

そして――「魔天使まてんし」。

天使には及ばないけれど、裏天使はそれなりの天力を。

そして、魔天使は少しだけ性質のちがう力、「魔力」を操ることができた。


生殖能力を持たない天使に対して、人間に近く生殖能力を持った僕たち裏天使、そして魔天使は、数の勝負で天使に立ち向かった。

その力に圧倒されたのか……いつしか天使は姿を消したのだった。


……あれから、500年たった今。

平和な世界に残された謎はまだまだある。

裏天使はどうして存在するのか。

そもそも天力とはなんなのか。


僕は今、それを研究するために勉強していたんだ。

してたんだけど……

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