頭上で回るは観覧車
長月瓦礫
頭上で回るは観覧車
横浜線に揺られて、現在は16時を過ぎた頃だ。
講義が先生の都合で中止となり、時間が空いてしまった。
「こういうこともあるんだね。どうしよっかなー……」
このまま家に帰るのもつまらないし、他に場所も思いつかなかった。
首をかしげていたキスカを連れて、いつもは来ない場所まで足を運んでみた。
「本当に大きいね、コスモクロックだっけ? 近くにこんなのないもんね」
目を輝かせて、ゆっくりと回る大観覧車に見とれている。
道を行く人は彼女に見とれている。
桜木町駅からぐるっと回るように歩いた。
ランドマークタワーに遊園地があり、さらに船の博物館まである。
広場では大道芸をやっており、火のついた棒を自由自在に操っていた。
近くには出店もあり、人でにぎわっていた。
向こう岸にあるビルでは、結婚式をやっていた。
ブーケが新婦から投げられ、参加者が受け取るシーンと遭遇した。
「本当におもしろいね、この辺って」
めったに見られない物を見られたからか、余計にはしゃいでいた。
鈴カステラをもぐもぐとリスみたいにほおばっている。
沈む太陽は金色の光を放ち、雲は不思議な色に染まっていた。
今日はお昼ごろまでずっと雨が降っていた。
「雨、止んでよかったね。晴れなかったら、ここまで来れなかったもん」
そういえば、小さい頃はお互いに譲り合っちゃって、順番がなかなか決まらなかったんだっけ。遊園地の乗り物の順番も何でもそうだった。
「またじゃんけんで決める?」
「いいよ!」
お互いに手を出し合って、あいこがしばらく続いて、ようやく決まった。
「お先にどうぞ、なっちゃん」
私が先に乗ることになって、キスカが後に続く。
雨上がりの空はいつもより輝いて見えた。
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