第36話

本当,何も考えないで,音楽だけ聴いて,

生きていけりゃいいなぁなんて思いながら…


ハヤトやリョウにバイバイそこそこで,

サクラに声掛ける.


「あの後さぁ…

全速力で八雲追って,

俺が一方的に説教たれて,

何だか良く分かんないまま帰した.


何が正解だったのか,よく分かんねぇ.

何?

コノハ先輩も八雲が好きとか?」


「へ?

先輩が?

八雲くんを好き?


ないない.


…ない…ない…?


は?

そう言う事なの?」

サクラが混乱中.

俺に聞くなよ.


「これから行くんだろ?

とりあえず八雲と話して…」

「あぁ,八雲くん.

柔道部.」

「柔道部!?

通りで…

投げられるかな…」


「…急には投げないでしょう.

多分…」

確証はないんかい…


「八雲も声掛けられたっぽいけど,

誰が声掛けたの?」


「クルミちゃん.

でも,何だか複雑みたいで…」

「複雑?」

「小さい時から,コノハ先輩とクルミちゃんと八雲くん,

同じ音楽教室でクラリネットを習ってたみたい.


だけど,コノハ先輩はフルート転向,

八雲くんもアルトサックス転向.


クルミちゃん,中途難聴なのよ.

耳が聞こえなくなって楽器止めた所を,

八雲くんが声掛けたみたい.


でも,その後,八雲くんが楽器止めちゃったみたい.

運動に力を入れてて.


同じ学校な事が分かってて,

今回,クルミちゃんが八雲くんに声をかけたのよ.」


「そっか…」


ん~なんか入ってきづらい…

後で図を描いてみるか.


「んで,サクラは俺にどうして欲しかったの?

八雲をどうにかして欲しかったの?


もう,この際だから,はっきり言ってくれたら,

熟考する.」


「えっ!」


「はよ.

はよ言って.」


「…一緒に部活がしたいです…」


「はっ!

それだけ?


それ以上もそれ以下もないからな.」


「うん.」


いらん,いちゃもんや御託はいらんかったのに…

それ早く言えよ.


「1か月賑やかにやればいいんだろ?

入部届けって,タピコに貰ったらいいのかなぁ.」


「うん.貰ってこよっか?」


「いや,今から行くんでしょ?

今,コロナ禍だから部活時間1時間って話じゃん.

あっという間っしょ.


俺も練習の邪魔にならないような事しとくからさ.

何か出来てカッコいい事教えてよ.


手ぇ引っ張って行く?」

ニヤッと笑って,サクラを見たら,ツンとしてた.


適当に音楽室に行って,

お願いしますと言いながら後ろに立つ.


先に行って準備してたサクラが

俺にロールを練習して貰おうと言う.


ロール…?


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