第2話

 ポリスに付いて行くとそこには、腹部に激しい損傷を追った遺体があった。女医の柏木は手袋をして遺体を確認する。

「これは、どういう事かしら‥‥‥」


 首を傾げて唸る有紀。俺も一緒に遺体の確認をする。これは! 人間がこのような事をする目的が解らないといった所だろうな。内臓の肝臓のみが無くなっている。

俺はこの状態の遺体を何度も見た。犯人は人間ではない。その事を話しても理解は出来ないだろうな。


「どう思う? マルクス。コレクター殺人っていう線も考えられるけど、ただ臓器だけが欲しいならこんな傷は可笑しいし、遺体も放置なんて事もあり得ないわ」

「そうだな、それに似たものかもな、きっとこれからこういった殺人は増えていくだろう」


 ポリスは唸る。

「これは困った。本当にこういった殺人が増えているんだ」


「やっぱりそうか‥‥‥」


 俺がそう言うと、女医の柏木は

「その言い方からすると何か知っているのか、それか心当たりがあるのか、そのどちらかしら?」


 と皮肉っぽく俺に言う。

「俺に解る事は犯人はサイコパスって訳ではないって事だ」

 そう言って後はポリスに任せた。


 俺達はさっきまでいたクリニックに戻って来た。


「ねえ、院長。今日は午後お休みですよ、予定がないのならマルクスさんを東京見物にでも誘って出かけませんか?」


「そうね」

 と考えている柏木院長。先ほど事件現場を見たばかりなのだが。


「それじゃあ、皆で行きますか!」

 ノリノリだな。


「流石院長! やったー!」

 ここの連中は変わっている。


「マルクスさん! 行きませんか?」


「それじゃあ甘えさせて貰おう。マルクでいいよ。親しい友人はそう俺を呼ぶから君達もそう読んでくれ」


「それじゃあ、私の事も有紀でいいわ」

 と女医の柏木が言うと、他の女性達も自己紹介を始めた。


「私は受付の七瀬里子、リコって呼んで下さい」

 とウキウキと話す。


「私達はここのナースの久島愛美と藤野美加です」


「マナとミカで覚えて下さい」


 とナース組が言う。愛美はショート、ミカは長い髪を束ねている。どっちも可愛い俺の好みだ。日本人は若く見えて可愛いんだ! 昔から変わらないなあ、きっとその流れている血液も美味しいのだろう。いやここでは、止めておこう。そんなこんなを考えていたら女子四人に連れ出され東京を案内された。本当にまあ、近代的な建物が多い。だが、神社などもありそんな所は昔を思い出す。楽しそうな彼女達には悪いが今、俺は猛烈に血が欲しい。うん? デパートがある、ここなら人間は多くいそうだ。彼女達には悪いが、ここにいてもらおう。


「悪いがトイレに行きたいのでそこのデパートに行って来る。だからここで待っていてくれないか?」


 そう言ってデパートに入る。丁度バーゲンセールをやっていで混んでいた。そこでつまずいた振りをして女性にハグをする。その隙に首筋に牙を沈める。人混みの中、俺はやっと血を飲む事が出来た。ああ何時間ぶりだろう。身体に染みわたる!

「ソーリー」

と言って頬にキスをすれば相手は俺を忘れる。俺は満足して彼女達の所に戻る。


「すまなかったね。続きはどこに俺を連れて行ってくれるのかな?」

 俺がいない間にどこに行くのか相談していたようだ。


「次はスカイツリーに行こうと思うのだけど、高い場所は大丈夫かしら」

「俺は大丈夫だよ。フランスのエッフェル塔より高いのだよね。楽しみだ」


エレベーターで上がりそこから見える東京の街、本当に随分と変わった。


 女子達は何やら盛りがっていた。初めて来た訳ではないだろうに。

「わあ! すごいです! 私こうみえてここ初めてだったんですよ。だっていつも混んでいるし一緒に行ってくれる人何かも居なかったから‥‥‥」


 と、りコが言うとナース組は

「まあね、実は私達もよ」

 とにっこり笑う。


「そうだったんですね! マナさんやミカさんなんてモテそうだからこういう所なんて男性によく誘われたりしたりしないんですか?」

 二人は

「誘われるから来なかったのよ」

 と一緒に言った。


「こんな所に誘うような男は下心見え見えじゃない」

 と、マナとミカは言う。

「こうみえて私達って男運ないのよ。お互いの元彼の話をした時お互い同情しちゃったわ」

 と二人は顔を見合わせて言った。


「そうなんですね。以外と苦労されたのですね」

 リコはと二人を優しく見つめる。


 そんな彼女達を有紀は嬉しそうに見つめていた。


 俺は有紀の傍に行き

「彼女達と話さないのか? 一緒に話してくるといい、俺は暫くこの景色を堪能させてもらうよ」


「そう、マルク堪能し終えたら教えて。次は浅草に行きましょう」

 そう言って彼女達の所へ行く。


 天守閣から見た景色とはやっぱり違うな。ここからは建物ばかりが見える所々に緑があるが、公園なのか都会の中に見える緑の木々には不思議な感じだ。


 そういえばさっき有紀が浅草と行っていたな、とスマホを取り出し検索する。ほお、なかなか面白そうな所だ。日本を感じる。


 彼女達も満足したのか俺の所にやって来る。


「どう? 満足出来たかしら?」


「そうだね。有紀が言っていた浅草が気になって今検索していたよ」


「院長、意外と渋い所へ案内するのですね」


「やだわ! だって日本らしいじゃあない! それじゃあ次に行きますか!」

 そう言って歩き出す有紀に付いて行く。


 浅草に着いた。浅草寺っていうのか、綺麗に保存されているじゃないか。寺はよく行ったから本当はもっと近代的な所を案内して欲しいのだが。まあここでは俺はただの外国人だからな。普通の外国人は喜ぶだろう。暫く彼女達に付き合うかな。

一通りお勧めスポットを巡った後に


「マルク! お寿司食べる?」

 有紀が言う。


「築地に行きましょうよ」

 後の三人も大喜びだ。


「お寿司! いいわね! 勿論院長のおごりですよね?」

 キャッキャと騒いでいる彼女達に。


「盛り上がっている所悪いが今度は俺に御馳走させてくれないか? 女性にばかりっていうのは何か俺自身が嫌なんだよ」


 そう言って彼女達に話す。


「それは構わないけど、この子達こうみえてよく食べるのよ」


「いいねえ! 沢山食べる女の子を見るのも俺は好きだよ」


「それではこちらも甘えさせてもらいますか!」


 タクシーを拾って乗り込む。俺は助手席に乗った。ドライバーは英語とフランス語がはなせると言ったので目的地に着くまで話した。

「フランス語はやはり難しい、英語の方でいいかな」

 ドライバーの言うように英語で話をする。築地に着いた。

 

 タクシーを降りた。ドライバーにはチップと言って余計に渡したが断れてしまった。それを見ていた有紀が、

「日本にはチップという文化はないのよ、気にしないで」

 そういえば、仲間のリックもそんな事言っていたっけ。


「さあ! お寿司食べるわよ!」

 と歩き出す、スゴイなあ! 色々な店がある。どこも美味しそうだ。その中の一つの店に入る。


「いらっしゃい!」

 と店員の大きな元気な声で迎えられる。


「さあ、マルクこれが日本のお寿司よ」

 沢山の人間が店内にいる。混んでいるようだが、俺達はすんなり席に着いた。

「マルクは苦手な物はあるの?」

「フランスでも寿司は人気だからね。大丈夫食べれるよ」


 有紀が板前に幾つか注文していた。目の前には芸術的な寿司が並ぶ。


「これは美しい!」

 思わず声が出る。板前が嬉しそうにこちらを見る。他の彼女達はもう食べ始めていた。


「マルク。食べましょう」

 有紀に言われて食べる。美味い! フランスで食べた物とは別物だ! 俺も結構食べた。血を飲む以外でこんなに満足したのは何年ぶりだろう? リックが勧める訳が解ったよ。


『お前はもう一度日本に行って来い。いいぞお! 日本。こっちに帰りたくなくなるぞ』

 言っていた意味が何となく解るよ。これからもきっと驚く毎日なのだろう。


「もうお腹一杯! もう入らないわ!」

 と女性陣がお茶をすすりながら言う。


「私もお腹一杯だわ。マルクはもういいの?」

「俺も堪能したよ。寿司、素晴らしい!」

 会計を済ませる。結構高いんだな。これだけの人数だから仕方ないか。


「ごちそうさまでした!」


 と彼女達から言われる。悪い気はしない。これはホテル暮らしは止めてリックの部屋を借りた方がいいかも知れないな。あの部屋は餌場だとあいつが言っていたから本当は違う場所にしたかったのだが。


 日本でも仕事は決まっている。リックが紹介してくれた大学病院だ。医師ライセンスは本物だこれでもちゃんと勉強はしたし実績もある。医学の進歩は驚く程進んでいる。こんな面白い仕事はない。


 彼女達とホテルの前で礼を言って別れた。ホテルの部屋であの遺体を思い出す。あれはアイツがやったのだろう。全く食った後は片付けていけよな、大事になっているじゃないか。














  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る