喫茶店でウィンナーコーヒーを頼んだ主人公。その頭を巡る絶望。これはその絶望がやがて希望に変わる物語。ネタばれではなく、その想像はつくのですが、巧みな物語運びと道具立て、絶妙な心理描写で、最後まで惹きつけてくれます。ラストはちょっと意外で、私はとても好きです。誰もが好きになる短編小説だと思います。もう一回読もうかな。
ウィンナーコーヒーの啜り、赤子の息吹き、桜の静かな舞い。本来気にしなければ、眼中は愚か、意識もしないものでしょう。死の決意をした者には、普段見えない、聞こえない、意識外の何かにも、気づくことができるのかもしれませんね。日常のように綴られる文章での表現では、死や絶望のもやっとしたイメージを表すのは難しいでしょうに、しっかりと感じさせてもらいました。なんだか私も、コーヒーを一杯飲みたくなってきましたね。
一杯の珈琲から始まり、一杯の珈琲で終わる。赤子に被せられたブランケットのように、ふわりと甘いクリームがのる、苦くて甘いお話でした。
素敵な表現が多く、描写がしっかりとされていて、頭の中でシーンひとつひとつをイメージできました。お互いがピンチの時こそ、寄り添う。一番支えになったのが今のパートナー。私の理想の恋愛像が組み込まれていて、素敵でした…!
ウインナー珈琲というと懐かしさを感じます。ほろ苦い珈琲のなかに、甘い生クリーム、贅沢な味ですね。