第17話「マリネ先輩」

 ロティさんは、関心しながらジャガイモの皮をピーラーで剥きます。


「まだ基本中の基本なんやけどな」


 対してポワレさんは、皮むきナイフを器用に使いこなし、怒涛の勢いでジャガイモを剥いていました。


「よしジャガイモも同じように薄切りにする」

「はいっ、マリネ先輩」

「見とけよ、ロティ」

「はいっ、マリネ先輩」

「尊敬しろよ、ロティ」

「はいっ、マリネ先輩」

「敬いたまえよ、ロティ」

「はいっ、マリネ先輩」

「なんなんこの会話」


「マリネ先輩」という響きに機嫌を良くしたマリネ先輩は、ジャガイモの薄切りをはじめます。

 西洋包丁を使いこなすマリネ先輩を、ロティさんは羨望の眼差しで見ています。

 ですが次の瞬間、ジャガイモがつるっと滑りました。


「あっ」

「あっ、ぶねぇぇえええ!? やっちまいよったぜぇえ!?」

「焦りすぎて言葉おかしなっとる」

「大丈夫ですかっマリネ先輩!?」

「ひぃ、ひぃ、ふぅ。大丈夫だロティ君」

「マリ、先輩風吹かせる前に血噴かせよったな」

「全然上手くないからなぁ!」


 何とかマリネ先輩は、血を噴かずに済みました。

 ですが皆さん、ジャガイモはぬめりがあってよく滑るので、よく注意しましょう。

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