第9話 カタツムリvillage

私の甥っ子は、どうやら生き物が大好きのようだ。


生き物図鑑が大好きで、気がつくと図鑑を見ている。

知識量がすごい。よくそんな覚えられるなと思う。


よく見ているせいか、絵を描くのも上手だ。

特徴をとらえるのがとても上手な気がする。羨ましい。


お絵描きのセンス0の私から見たら、こやつは天才なのではないかと思う。

おば馬鹿フィルター全開なので、天才に見えてるだけなのかもしれない。


けれど、この子の個性には違いない。

素敵な個性を持っている。いいなぁ。



そんな甥っ子がある日、カタツムリを拾って帰ってきた。


自分でお世話をするとの約束のもと、そのカタツムリは甥っ子ファミリーの一員に仲間入り。

甥っ子は、とてもとても可愛がっていた。


しばらくして遊びに行くと、虫かごが増えている。

中身はやはりカタツムリ。


話を聞いてみると

甥っ子は、学校からの帰りにカタツムリを見つけると、干からびてしまったり死んでしまうのが心配で連れて帰ってきているらしい。


子供の目線に戻ってみたいと思う瞬間だ。

私はカタツムリを道端で見つけることなど、もうできない気がする。

この子の世界では、どんな風に見えているのかな。


もちろん

“自分がお世話できるだけ!”

と母親と約束をしてるからむやみに増やしたりはしておらず、できる範囲の中、初代カタツムリと共に拾われたカタツムリは、甥っ子の愛のもとすくすく育っている。



それからまた1年ほど時が経ったある朝、姉からラインが届く。


“カタツムリが卵を産んだよ!”


カタツムリって両性なんだよね、知ってました?

雌にも雄にもなれちゃう。

私、昔漫画で読んで“どひゃーー”ってしました。


つまり、2匹いたら子供が生まれる可能性は出てきてしまう。

それが実現してしまったみたい。


甥っ子は泣きながら姉に


「どうしよう……卵の子達が生まれたら、1人でお世話できないかもしれない。でも、だからって今になって、どこかにやるなんてできないよ。」


と訴えてきたらしい。


私は何か生き物を飼ったこともないし、命のことだから何が正解なのかはわからない。


ただ、この時に甥っ子が、真剣にカタツムリと向き合って、小さいながらも必死で考えてるのはすごいなと、思った。

年齢じゃないんだな。

投げ出すと言う選択肢がないことに安心もした。




今現在

甥っ子は、姉と2人で卵から孵ったカタツムリも含めて1匹も手放すことなく、お世話をしている。

虫かごの数もだいぶ増えて、カタツムリ村になりつつある。


気づけば姉も、このカタツムリのお世話が癒しになっているらしい。

親子で仲良く、素晴らしい。

そして、2人でこのカタツムリ達がどうなるのが1番幸せか、考えている。


さっきも書いたけど

命に対しての考え方はそれぞれだ。

何が正しい、正しくない。そんなのはわからない。


ただ、甥っ子も、甥っ子に拾われたカタツムリも、そこから生まれた新しい命も、一緒に育ててる姉にも、ハッピーな結末が訪れることを祈りたい。


そんな木曜日。


















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