十.1359年後
そして、わたしはきみに出会えた。
改めて、こんにちは。
改めて、ありがとう。
わたしの声を聞き取ってくれてね。
なぜ、わたしがまだここに在るのかって。
だが次第に、不毛の大地となっていたこのオオドを進む旅ビトを見かけるようになったのは。最初の頃は爆弾の残滓により、顔を覆う機械を付けている者ばかりだった。それが外れて旅人の顔も見られるようになったのは、それからさらに経ってからだった。時間の経過は大まかだが、一応通り過ぎていった者たちは人数を数えていた。わたしの見える範囲だけではあるが、少なくともきみより以前に71人の旅ビトが、世界の先端を目指して行ったよ。
ところできみも、アーゼンノアなんだろ。
…そうか。いや、いいんだ。あそこを目指そうと思い立つ時点で、間違いなくきみはそれだ。その呼び名の意味をなぜか分かっていることも、わたしの声が聞こえていることも含めてね。
おや。質問かい。遠慮することないよ。
…ああ、そうさ。共に行くことを望んだのは、もう半分の約束を果たしたくてね。
…そうだね。でも、それを理由に勝手に反故にするのは筋違いというものさ。だから、改めて頼むよ。
…ありがとう。
…ふむふむ、なるほど。星の海を巨大な魚のような天体が泳ぐ…。
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