第21話 なんだその設定

 カツヨリは剣を買いたくて武器屋に行った。ギルドでの素材の買い取り金額が金貨50枚にもなったのだ。さっすがBランクの魔物だ。4等分しなきゃだけどリリィとリコは昨日沢山買ってもらったので金貨2枚でいいそうだ。まあそれでも大金だけど。というわけでカツヨリの取り分は金貨34枚、日本円で340万円である。エクスカリバーとか買えないかな?って、まあそんな物が普通そこらの店には売ってるはずはないのです。


「ごめんください。剣か刀はありませんか?」


 最初の武器屋には剣は置いてなかった。2軒目もだ。いくら鉄を輸入に頼ってるからって少しはあってもいいんじゃない、普通。と思ったら需要がないらしい。腕のいい鍛治師は王都か他国にしかいないそうだ。エクスカリバーところかただの剣も無いとは。仕方がないので手裏剣代わりの小刀を5本買った。


「お兄ちゃん。それどうするの?」


「ああ、これはな、こうやって投げるんだよ」


 カツヨリは木に向かって小刀を投げた。高速で飛んだ5本の小刀は木に十字を刻んで刺さった。


「え、何で?前のお兄ちゃんはこんなことできなかった。本当にお兄ちゃんだよね?」


 カツヨリは多分ね、と言い小刀を回収した。スキルに射撃があったからな。まあ手裏剣もある意味射撃みたいなものだし。そういえば銃ってあるのかしん?


「リリィ。この国に銃とか鉄砲ってあるか?」


「何それ、どういうの?」


 カツヨリは説明したがリリィには伝わらなかった。誰でも魔法が使える世界で銃はいらないか。この射撃スキルは戦国の名残りってことね。カツヨリ達はその後、森の調査依頼用にアイテムを購入してギルドに紹介してもらった宿屋についた。流石に昨日のような高級ホテルではなく格安なお宿だ。一泊一部屋二食付きで銀貨5枚、ギルドの紹介がないと銀貨10枚だそうだ。カツヨリは部屋を3つ借りたが、子供しかいない3人で3部屋かよと店主は値踏みするようにこっちを見ている。ならばとしばらくは泊まると言って金貨1枚を前払いすると店主は急に態度を変え、揉み手になった。


 なんだかなあ、と思ったが見た目が若いから仕方ないのかもね。


 3人で晩飯を食べた後、リコに聞いてみた。


「今日レベルも上がったけど相当魔法使ったろ?疲れたんじゃないのか?」


「さっきまで平気だったけど、ご飯食べたら眠くなった。MPは回復したけど体が疲れてるみたい」


 そりゃそうだろ。戦闘経験ない子が1日でレベル10も上げて魔法打ちまくったんだから。ポーションとか回復魔法でHPは戻っても精神的な疲労までは取れないようだ、うん、現実的だね。これで疲れなかったら危ない薬の部類になっちまうもんな。食後それぞれの部屋に戻ってから、カツヨリは夜の町に出た。行き先は、そう、エロ神官じゃあない、神官様のお宅だ。地図もらった以上行かないと失礼だよね、女性を待たせてはいけない。うん、そうだそうだ。


 アンジェラの家は宿から歩いて10分位のところにあった。玄関前に着いた。なんか緊張するな、女性の家を訪ねるなんて高校生以来、ん十年?いや、100年ぶり?だぜ。これはチャイムか、魔道具?音が出るのかな?カツヨリは勇気を持ってチャイムを押した(オーバーな)。


『ジャーーーン』


 カツヨリはこけた、なんつう音だよ。可愛くピンポンとかじゃ無いの?これだから異世界はわからん。扉が開いてアンジェラが出てきた。カツヨリの顔を見るなり飛びついてきて腕を取り、家の中へ誘導した。服装は巫女さんではなく室内着だが胸がパックリ空いていて見えそうで見えない実に微妙なラインだ。それが歩くと反動で少し緩むもんだからついつい目線がいってしまい、部屋に入るときに躓いてしまった。足元を見ない愚か者は誰だ!はい、僕です。 なんて一人芝居をする間も無く、アンジェラに起こされた拍子に谷間に顔が埋まった。


 わざとじゃ無いっす。偶然っす。とっさに離れようとしたがアンジェラが離さない。


「ええーと、アンジェラさん、」


「イヤ、アンジェラとお呼び下さいカツヨリ様」


「ゴホン。ではアンジェラ、離して貰えるとありがたいのだが」


「今日泊まっていって下さると約束していただけるなら離します」


 まあいいか、聞きたい事たくさんあるし。早朝に戻れば問題ないか。


「わかった。今日は泊まろう、だが明日はギルドへ行かねばならないから早朝に出るぞ」


「かしこまりました。ではその間カツヨリ様は私の物です」


 目がキラリと輝き、そのまま寝室へ連れ込まれた。服を脱がされて、


「カツヨリ様はそこで寝ていただくだけでいいのです。お疲れでしょう、全て私にお任せ下さい。私も殿方とは初めてですが精一杯ご奉仕させていただきます」


 そこからはペロペロパックンチョの嵐。全身を這い回る口と唇と胸の感触で感極まる前に、祝・異世界初合体 だったのだがカツヨリの脳内に女神エリアルが現れた。


「え、エリアル。最中に現れるとは何て野暮なやつ。女神にはデリカシーって物がないのかよ。いいところで邪魔するなんて女神の風上にも置けない」


「お久しぶりですね。神殿に仕える神官は誰でもなれるわけではなく、女神の信仰心が優れている者から選ばれます。その信仰心を伝わって少しですが下界を見る事が出来るのです」


「話が通じてないぞ!わかったから、邪魔しないでよ。後で話聞くしこっちも聞きたい事が山ほどあるんだから」


「私と貴方が話をするには神官を介さなければいけません。直接貴方と神官が繋がった状態でないと私とは会話ができないのです」


 なんだそのせってい?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る