第25話 ダンジョン探索その二
日が明けて、次の日。俺たちはもう慣れ親しんだ道を登校するかのように、山頂のダンジョンの前まで来ていた。
来る途中の魔物に関しては、俺のレベルがもう少しで上がりそうだったので、すべて俺一人で相手させてもらったのだが、あと少しのところで足りなかった。しかしこれならダンジョンに入ってすぐ上がるだろう。
道中の魔物との戦闘も特にこれといったことはなく、今日もダンジョン探索を開始する。
まずはダンジョンに入って、昨日と中の構造が変わっていないかを確認する。
中に入って最初の広場にはこれといって変化はなさそうだ。
今回はまだ行っていない曲がり角を調べるのは後回しにして、昨日ゴブリンソードマンと戦った広場まで最短ルートで進んでみる。
道中、昨日とほとんど同じところにゴブリンたちがいて、これもしっかりと倒しつつ進んでいくと、しっかりと昨日と同じところに広場が存在した。ついでにここまでの道中で俺のレベルも上がっていた。そのステータスがこれだ。
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名前:
種族:人族
職業:死神
ジョブレベル:2
必要経験値:12/350
【ステータス】
|M P:10+(10×0.9×2)+(10×0.1×2)|=17/30
|攻撃力:8+(8×1.2×2)+(8×0.4×2) |=34
|耐久力:8+(8×0.5×2)+(8×0×2) |=16
|速 度:12+(12×1.2×2)+(12×0.4×2)|=50
|知 力:10+(10×0.8×2)+(10×0.1×2)|=28
【所持スキル】
暗殺術 レベル 2 【属性付与(毒)】【切れ味強化 1MP】
鑑定 レベル 2 【物品鑑定 1MP】【魔物鑑定 1MP】
【所持SP】
901,926P
【装備品】
死神の短剣 レベル 2
【その他】
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速度が50ともなると、かなり早くなったと感じるな。正直今の俺からすると、ゴブリンは攻撃を避けながら、首を切り裂くだけのリズムゲームみたいになっている。
また道中、そのゴブリンに対して何度か【魔物鑑定】を行って、ゴブリンのステータスを確かめた。若干の個体差はあったが、大体ゴブリンのステータスがこんな感じだ。
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名前:なし
種族:ゴブリン
レベル:3
【ステータス】
M P:3
攻撃力:15
耐久力:15
速 度:8
知 力:1
【所持スキル】
棍術
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ゴブリンは典型的な脳筋スタイルの魔物で、知力が極端に少なかった。それとスキルは何を持っているかは分かったが、どんなアビリティを持っているのかなどはわからなかった。
しかしこれが最弱の魔物だと考えると、レベルを上げると何とかなるが、レベルゼロの時は厳しいと思うな。
実際に戦ってみると、知力のせいもあるだろうがステータスがすべてではなく、戦略や協力などで格上の相手も倒せることはわかっている。しかし非戦闘員の人には、やはりなかなか難しいだろう。
こんな感じで、【魔物鑑定】は今現在の敵のステータスを知ることができて、かなり便利だということがわかった。また、これは暗殺術がレベルアップしたときにも思ったのだが、スキル自体のレベルが上がるとそのスキルに関係する動きがよくなる気がする。これはスキルがレベルアップしたからよくなっているのか、それともよくなったからスキルがレベルアップしたのかわからないが、体感として事実だと思う。
そんなことを思いながら広場に足を踏み込んだ。
そうすると予想通り、中心に空間の裂け目が表れ、下からせりあがるようにゴブリンたちが表れた。
今回ゴブリンの数は一緒だったが、表れたのがゴブリンソードマンではなかった。今度のゴブリンは斧を持っている。
「【魔物鑑定】」
魔物たちが表れるとすぐに【魔物鑑定】を使用して、斧持ちのゴブリンを鑑定する。
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名前:なし
種族:ゴブリンソルジャー
レベル:8
【ステータス】
M P:7
攻撃力:44
耐久力:40
速 度:18
知 力:3
【所持スキル】
斧術
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名前はゴブリンソルジャー、やはりゴブリンの上位種だろう。攻撃力はケビンには及ばないがかなり高く、耐久力も高い。持っているスキルは斧術と予想通りだ。しかし速度の値がそこまで高くなく、今の俺はかなりのスピード型で十分勝機があるだろう。
「みんな、基本は昨日と同じだ。だけど真ん中のゴブリンソルジャーっていう、ホブゴブリンやゴブリンソードマンみたいなゴブリンの上位種みたいだね。」
みんなに素早く奴のことを説明するとケビンが、
「坊ちゃんどうします? パワータイプだったら俺が抑え込んだ方がいいと思いますが…」
と聞いてきた。確かにそれが一番安全だろう。でもここはレベルが上がってどのくらい強くなったか確かめたい。
「そうだね、その方が安全だろうけど、ちょっと今回は俺に戦わしてくれ。昨日と今日でどこまでホブゴブリンクラスの敵と戦えるのか確かめたい。あとこのまえ気が付いたんだけど、俺の職業の経験値って同じ魔物だとほぼ固定で同じ経験値がもらえるんだ、でも初めて倒した魔物に対しては多く経験値がもらえるみたいなんだよ。」
「そういうことなら任せます。こっちはさっさと終わらすので、そっちも手短に倒しちゃってください。」
そういってケビンはゴブリンたちに突っ込んでいった。それに合わせて一ノ瀬さんと内海さんもゴブリンに突撃していくのを尻目に、俺はゴブリンソルジャーに攻撃を仕掛ける。
まずは思いっきり突っ込んでいき、その勢いのままいきなりゴブリンソルジャーの首を切り裂こうとする。もう何度も魔物たちの首を割いてきたので、この動きがいちばんスムーズに行える。
しかしこれで決まったかと思われる俺の攻撃に、しっかりとゴブリンソルジャーはついてきた。
間一髪で腕を交差することで、首への攻撃を避けたのだ。
ゴブリンソルジャーの首を狙った短剣の攻撃は腕に阻まれ、腕を切り裂くことになった。
さすがの耐久力で腕を切り飛ばすことはかなわなかったが、しっかりとスピードの乗った切り裂きは、ゴブリンソルジャーの腕に大きな切り傷を残した。
そのままゴブリンソルジャーの後ろ側まで出た俺は、急停止し、そのまま反転して、無防備なゴブリンソルジャーの背中へと短剣を突き立てる。
「【切れ味強化】」
ゴブリンソルジャーの屈強な肉体を貫通させるために、アビリティ【切れ味強化】を使用して、背後からゴブリンソルジャーの心臓めがけて短剣を突き刺した。そして短剣を抜いてバックステップ。そのまま様子をうかがう。
ゴブリンソルジャーは背中からしっかりと心臓を刺され、苦しそうな表情をしている。これでもう長くはなさそうだ。
しかし相手は魔物だ。すぐにはくたばらず、そのまままだ戦おうと胸を押さえながら立ち上がる。そこで俺はとどめを刺すためにゴブリンソルジャーへと踏み込み、苦しそうにして出遅れた奴の防御をかいくぐり、顔面に短剣を差し込む。
それによって完全に動きを止めたゴブリンソルジャーの顔から短剣を抜き、あたりを見渡すとすでにみんな戦闘を終えていた。
結果として、今の俺のステータスは一対一でホブゴブリンクラスなら完勝できるほどに強くなっていた。
「よし、みんな終わってるね。初日から考えたらかなりみんな強くなった、俺も一人でここまでできるようになってる。この調子でこの奥も頑張ろう」
そういって皆で死体をポイントに変換した後、宝箱から出てきた無骨な斧(中級)を回収して、そのままダンジョンの奥に進んでいく。この奥はどうなっているのか、現状うまくいっているので、少しわくわくするな。
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