第10話 はこにわたんけん

ジュースも飲み終わり、一息ついた。デラウエアも楽しみだな。

やっぱり味があるって素晴らしい。

おっと、そうだ。初回ボーナスは全部開放したら、目の前に全部出るの?


―いえ、調合セットや錬金セットなどは家の中に。釣りセットは物置と外の調理場などに自動的に振り分けられます。


じゃあ、全部出してセットしてもらえる?


―かしこまりました。


すると、物置が増えて少し家が豪華になった感じがする。


この急に建物が生えてくるの慣れないな。


―どちらからご案内致しましょうか?


まずは、家の中だね。わくわくしてきた


玄関を魔法で開けて、ふよふよ浮かびながら中へ入ると、外で見たより中は広く感じた。


―空間拡張されてますので、小とはいえ、マスターがご不便ない広さになっております。


僕はトリアさんの声には構わず、次々とドアを開けて部屋を確認していく。

トイレ、お風呂、洗面台、調合室、キッチン、錬金室、寝室、リビング、サンルーム、地下の収納部屋

下に続く階段を見つけた時はワクワクしすぎて、鼻血が出そうになった。

収納部屋の奥に隠し扉があって小部屋も見つけた。

そして、リビングの天井に他と違う四角く切り取ったかのような線がついていたので、押してみるとそこは屋根裏部屋になっていた。


ふふふ。秘密基地みたいで楽しい。

ちょっと、クエストのポーションをまず作ってみようかなと考えていたら、なんと15分経ってしまったらしく強制的に現実世界へ戻されてしまった。

もっと遊びたかったのにぃ。

にしても、やっぱり屋根裏部屋とか地下室はロマン溢れるよね。これからどうカスタマイズしてやろうか。

ひっひっひ。


―マスター。赤ちゃんらしからぬ笑いはやめた方がよろしいかと。


いつの間にか僕は悪の総統みたいに笑っていたらしい。

失礼な。可愛いベビースマイルじゃないか。

ねえ、気になったんだけど、サンルームとかリビングの出窓とかって最初無かったと思うんだけど。


―はい。くつろぎセットの中に入っておりました。


そんなのもセットの中にあったの!?出す前の状態も見てみればよかった。

・・・さっき興奮して色々考えてたら、僕腹ばいになってたんだけど、いつのまに寝返りうったの??


―ニヤニヤしている時に綺麗にコロンと転がっておりましたよ。


うっそ。まだ寝返りできる気がしなかったのに。無意識の寝返りとは・・・僕の感動を返せ。


―ご自分でやられたことでしょう?


そうだけどさ。なんか頑張ってできましたよって感じがしなくて。

あ。ねえ、でもこれ寝返りできるようになったってことは、ベッドにいたら落っこちない?


―多分大丈夫ですよ。


え。どういうこと?


―すぐにわかります。


すると、母上が昨日の今日だというのにまた僕の部屋へ入ってきた。

週1訪問じゃなかったっけ?

僕が腹ばいで頭を上げて、母の方を見るとバッチリ母と目が合った。


「イシュクラフトちゃん、もう起きたの・・・まぁまぁまぁまぁ!!」


まぁが多いな母よ。


「なんてこと!もう寝返りできるだなんて。こうなったらベッドのままじゃ危ないわね。よし、丁度いいわ。お部屋のお引越ししましょう。コロコロ転がってぶつかっても大丈夫なよう、各所に柔らかい防御魔法と魔法道具を設置したお部屋を作るわ!!ママとパパの部屋のお隣に作るから待っててね。今指示してくるわ」


なんだそれ。柔らかい防御魔法ってなんだ。防御魔法に柔らかいだの硬いだのあるのか?

頭を上げてるのも疲れるので、腕を枕にしつつ呼吸はできるよう確保しながら寝そべってみた。


「お坊ちゃま、今、奥様がクルクル回りながら部屋を出ていかれましたけど、一体何が?」


母、何をやってるんだ。


「あら、寝返りできるようになったんですね。ああ、それで奥様・・・」


良くわからないが柔らかい防御魔法の部屋を用意するって言ってたぞ。


「さて、ではまずおむつ交換からしましょうね」


ふぅ、現実世界に戻ると心の声が通じないから不便だ。


―ではマスター早く錬金術と魔法道具作成のレベルを上げましょう。


もしかして、それもつくれ・・・


―はい。作れます。


未来の僕チートすぎだろ。

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