本編は先輩と後輩による会話劇である。二人は同じ語句の違う側面を語っている。しかし、会話の内容とその雰囲気が、会話をする二人のズレを感じさせない。会話の中心は、ネット上ではよく見られるようになった梶井基次郎の桜に対する語句だ。綺麗に咲く桜を眺めながらの長閑な春の日の語らい。漂うのは和やかさだ。しかし、その瞬間────変化する。その一言。小さな、けれども硬質な違和感が会話全体を別のものに変える。鮮やかな短編である。ぜひ、ご一読いただきたい。
この作品の文字数は、477文字。短い物語ですが、その文字数を最大限に活かしきって、美しさと恐ろしさの同居した世界を描ききっています。現在は10月で、桜の時期とはちょうど正反対くらいの時期ですが、そんな今こそ読んでみるのもいいかもしれません。すごくおすすめの作品です! ぜひぜひ、ご覧になってください。