魔鳥?(まちょう)の恩返し ~鳥さん?と行く異世界道中記~
taka
第1話 不思議な小鳥
『はぁ〜やっと今日も終わった』
ブラック企業に務める五十嵐孝史は、嫌な上司に無理やり押し付けられた残業を終えた所だ。
『あのクソ上司、これ今日やらなくても良い仕事なのに、無理やり押し付けやがって!』
時間はもうすぐ日付が変わるが、電車会社のダイヤ改正でもう終電も出てしまっている。幸いにも会社から自宅迄は徒歩で30分位、電車で一駅しかない。
『はぁ〜また歩きか』
もう馴れてしまった徒歩での帰宅にうんざりしながらも会社を出る。
20分位歩いた所に、公園があり、公園を通り抜けると自宅への近道になる。
残業の時は、何時も公園のベンチで少し休憩を取る。
『はぁ〜やっと公園だ、何時もの様に休憩するか』
ここの所の残業続きで、ため息ばかりしている。
【ぴ~ぃ】
『ん?』
孝史の座ったベンチの裏手から、弱々しい声が聴こえた。
『何だ?鳴き声が聞こえたぞ』
すぐにベンチから立ち上がり、裏の茂みを覗いてみると、そこには傷付いた小鳥が、横たわっていた。
【ぴ~ぃ】
再度弱々しく鳴く小鳥
『怪我をしてるのかい小鳥さん』
普段の孝史なら気にも留めないが、小鳥に声を掛けていた。
野良猫にでもやられたのか、血濡れている小鳥
【ぴ~~ぃ】
孝史の声に答える様に弱々しく鳴く小鳥
『はぁ〜お前さんも可哀想に、手当てしてやるか』
そう答えると、ヨレヨレのスーツのポケットからハンカチを取り出し、傷付いた小鳥を優しく包むと急いで自宅へ戻る。
『もう少しで家に着くから、手当てしてやるからな』
優しく微笑みながら家路を急ぐ
【ぴ~~ぃ】
そんな孝史の声に弱々しく答えると目を閉じて、気を失う様にぐったりとする小鳥
『急ごう』
ぐったりとする小鳥に気付き家へ急ぐ
数分後自宅に到着し手当てを始める
『鳥の手当てなんて判らんから、人間と同じ方法で良いよな?』
部屋に置いてある救急箱からガーゼと傷薬、包帯を取り出し、恐る恐るながら、手当てを進めていく
『傷はこんなんで、大丈夫かな?
このままじゃ体温が下がっちゃうし、傷口意外にも血で濡れてる所を拭いてあげないと』
数分後手当てを終えて、血濡れの小鳥を濡らしたタオルで拭いて行くと、綺麗になった小鳥の姿を見て驚いた
『この鳥、何て鳥なんだ?』
パッと見、普通の小鳥なのだが、躰を覆う羽毛の色が薄い虹色で少し輝いている
見た事も無い鳥に不思議な感覚を覚えながらも手当てした小鳥の寝床をダンボールとタオルを使って作った
『ここは俺しか居ないし外敵も居ないから、安心して躰を治しな。ゆっくりお休み』
ダンボール巣箱の中で眠る小鳥に声を掛け孝史も眠りに就く
そして手当てしてから数日経つが、小鳥は目を覚まさない
『お前さんは何時目を覚ますんだい?』
そう呟き孝史は眠りに就いた
次の日、また深夜までの残業を終えて部屋に戻って来て、いつものセリフを呟く
『ただいま』
誰も答えるはずは無いのに…
【ぴ~ぃ】
『え!?』
驚いた孝史は、急いで部屋に入り小鳥の巣箱を覗いた
そこには、まだまだ弱ってはいるが、しっかりと目を開いた小鳥が横たわっていた
『小鳥さん目が覚めたんだね』
【ぴぃ】
孝史の声に答える様に小鳥が鳴く
『おっ!俺の声が判るのかな?まあそんな訳無いか』
【ぴぃ~】
判ってるんです!とでも答える様に、半目でいじけた様な声で鳴く
『あら?本当に判るのか?』
【ぴぃ♪】
嬉しそうに返事を返してきた小鳥に、不思議な事もあるんだなと思いながら、小鳥に質問してみた
『ふむ、小鳥さんは会話出来るのか、少しは元気になったかい?』
何気ない質問をしてみる
【ぴぃ♪】
元気になったと言っている様だ
『そうか、でもまだ怪我は治ってないから安静にしてようね』
【ぴぃ♪】
判った!とでも答える様に鳴くと、目を閉じて眠りに就いた様だ
『元気になってくれて良かった。
会話が出来る小鳥さんか…不思議だな…
はぁ〜今日も疲れた。
明日も日曜なのに仕事か、たまには何処か遠出でもして、のんびりしたいなぁ〜。
はぁ〜まあ無理だな……寝るか、おやすみ』
孝史はそう呟くと眠りに就いた。
その呟きを聞いていた者がいた。
【ぴぃ〜ぴゅい♪】
小鳥が楽しそうに鳴くと辺りが光に包まれた。
光が収まった後の部屋には、孝史と小鳥さんの姿が消えていた。
続く
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始めまして、takaと申します。
物凄く昔に二次小説を少しだけ書いていました。(約20年近く前ですね)
寝てた時にネタが降ってきたので、完全に思い付きで書き始めました。
オリジナルは初めての投稿になります。
こんなつたない文章でも、お付き合い頂けると幸いです。
感想、応援コメント等頂けると、幸いです。
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