ねむりのうた
持て囃された かの童
祝され深く 愛された
我らが宝と 囃されて
無事健やかに 笑顔晴れ
童の周りは 邪気もなく
生く先々は 考えず
ただただ無邪気に 時が過ぎ
この世は希望 だけと思い
眠る童が 赤くなり
大人たちだけ ただ喚く
二つ失い 何もなく
壊れ壊され 黒くなる
起きた童が 青くなり
大人たちにも なす術なし
一つもないと ただ嘆き
壊れ壊され 堕ちてゆく
成した童の 澱む顔
同じ大人も 同じ顔
何もないと ただ俯き
壊れ壊され 沈みゆく
成した童は 捨てられた
どの大人も 違っていた
得るものなしと ただ沈み
壊れ壊され 渦巻き出す
かの童だけ 壊された
全ての大人は みんな敵
奪われ奪われ みそっかす
朽ちて朽ち果て 壊された
壊れた童 邪に
怨みに満ちて 晴らさんと
事を起こして 指し示す
見捨てられていた この自分
死を待つ童 ただただ待つ
恨む世からは 終止符を
己の意志は ただ固く
待てどくらせど 終われない
かの童だけ 捨てられた
されど彼だけに あらざらん
見つけられなかった 同じ意志
黒く成り逝き 混ざりゆく
今生の夜に 別れ告げ
最悪 ー 絶望・恐怖短篇集 MAGI @magi2021
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