男子校に入学したはずなのに、クリスマスがハードモードな件
「うぐっひっぐ……。」
「泣かないでショタ君。ごめんって!」
船坂さんに助けられてようやく軽井沢にあるユミコの家に辿り着いたとき、俺は安心で泣いていた。これは男でも泣かせてほしい。めちゃくちゃ怖かった。
ちなみに、作者いわく、作者の世界の舩坂さんとこちらの世界の船坂さんは、まったく関係がないらしい。
舩坂さんは伝説の日本兵、舩坂弘さんの子孫だという。細かいことはググッてくれ。生命力の偉人の子孫だからか、運転も何もかもめちゃくちゃ荒い。ジェットエンジンに乗っているときよりも怖かったし、ユリアさんよりも運転が荒かった。あれはもはや運転とは呼べないのではないだろうか。
それにしても……。
「本当に怖かったぁ……うあぁ……。」
そこに、沖縄でついでにバカンスをしてきたユウキと、東北の農家の方に逆においしそうなお米をもらってきたユミコが俺のことを見て一言。
「泣いているカヅキも、これはこれでなかなかにかわいいわよね。なんというか……。」
「いじめたくなる。」
「そうそれです!」
これ以上何をして俺をいじめようというのか。
「カヅキ!大丈夫か!?ほら、昔みたいに慰めてやるぞ~。」
結局ロシア軍と自衛隊を全滅させた後に返ってきたカオリが俺の頭を抱きしめる。やめて、みんなの目が痛い。
っていうかいつ俺がお前にそんな慰め方してもらったよ。なんでどや顔なんだよ。
「カヅキはそんなやすりみたいな板で削られるより、大きいほうがいいよなぁ?」
そう言って俺の頭をグワシと掴んでカオリから引きはがし、自分のもとに寄せたのはアオイである。
そこら辺にいる男からしたら羨ましい光景なのだろう。だが、こいつらは平気で片手で砲丸を握りつぶせる握力の持ち主。
そんなのから両手で、両側から引っ張られるのが羨ましいなら、ぜひその人には、プレス機で両側から頭を引っ張られる体験をしてもらうことをお勧めする。
「今ミキっていったたたたた!」
頭蓋骨から危険な音がしてきて、痛みの方の涙が出てきたそのとき……
「避けてくださあぁぁい!」
俺らの頭上から誰かが降ってきた。もう何となく知ってるけどさ。
もうもうと立ち込める煙の中から、マキ先生のような人が立ち上がって出てくる。
「だから言ったろマキ。墜落したって何とかなるって。
確かに!高いところから落っこちるのは初めてではありませんが!わざわざやることじゃないですよね!?
ひもなしバンジーってやつよ!ひっひっひっ。」
今のは、ジェットエンジンを操縦しているマキ先生を操縦しているユウリの仕業、ってところか。
「ただいま!」
なぜか足の下からヒカル先輩が生えてきた。
「新しいタケノコごっこですか。」
「失礼だなぁ!あのあと飛んでたら、どこだったか見覚えのある山に墜落しちゃってさ!エンジン壊れちゃったから穴を掘って帰ってきた!」
見覚えのある山と言ったら渕転ブチコロ山か。あの呪いの山から単身帰って来られるとは、この人もいい加減に人外認定した方がいいんじゃないだろうか。
そんなこんなでワイワイしているうちにボーイッシュ先輩やアヤカさんも帰ってきた。
ちなみにルナはシオリさんからの使いもかねて金星に一度帰省中らしい。ダジャレかと思っていたらユミコに小突かれた。
ほかにも、科学的にゲートを作ることに成功したらしくセレスさんは異世界に行ってきたり、フウリさんは東京観光も兼ねてなど、みんないろいろなところに行っているらしい。
「っていうか姉ちゃん、異世界とか金星にまで地球の文化普及させて、また偉人協会から怒られるんじゃないの?」
アオイがツッコむと、
「大丈夫大丈夫。バレなきゃ犯罪じゃないよ!」
と元気いっぱいにのたまった。すぐそばに舩坂さんいるのに。
「ご安心ください。田中シオリさんは、霧隠、風魔、猿飛、服部の四人体制で監視していますゆえ。」
舩坂さんの言葉にシオリさんがげぇっという顔をするが、
俺の耳元で、
「でも、地面掘ったり空飛ばしたりするもんねー。」
と囁いてくる。反対側では
「空は海外のライトやアームストロング、地下はネモに探らせている。君は安心したまえ。」
と舩坂さんが言ってくる。偉人大戦はほかでやってくれませんかね?
「とまあ、何はともあれ全員帰ってきましたね?」
「いや、まだレイナちゃんが……。」
「いや、全員帰ってきましたね?」
「だからカヅキ、レイナが……。」
「つまり、全員帰ってきましたね?」
「旦那様、レイナが……。」
「あーもううるさいっ!俺が全員って言ったら全員なの!」
つまり途中で捨ててきたのか。みんなが俺をゴミを見る目で見てくる。だって……だってあいつが……。
「あーもう、泣いたらだめよカヅキ。シャキッとしなさい!」
ユウキが俺のシャツの背中に棒を入れて目にメガシャキを流し込んでくる。なんという物理的シャキッと。っていうかコルセットずれるからおやめになって。
「わ、ワタクシならここにいますわぁ!」
レイナの声が聞こえる。俺の乗っていたジェットエンジンの中から。まさか……亡霊?
「ひっ、ひぇ!幽霊だぁ!」
もはやわざとだろと言わせんばかりにユウリが叫ぶ。
「おまえ、いつからいたんだ?」
「最初からですわぁ!けど、捨てられてすぐに現れたらまた捨てられますものぉ!」
うん。なんか人聞き悪くないか?
「ご安心を!プレゼントはお姉様の分まで一人一人丁寧に渡してきましたわぁ!『今年こなかったサンタさんなんて忘れて、今からでもカヅキお姉様に改宗なさい』と!」
マジかよ。
「いや、それはちょっ!」
シオリさんが慌て、舩坂さんが誰かに耳打ちする仕草をとる。マジで忍者いるのかよ。
「教会の人も泣いて喜んでくれましたわぁ!カヅキお姉様教が北海道にできましたのぉ!」
本当に何してくれちゃってるんだこいつは。
「これで全国三つ目の支部ですわぁ!」
「待て。一つはどうせ学校だろうが、もう一つはどこだ?」
「メイド喫茶ですわぁ!」
「私も会員よ!」
余計なこと量産機が二大そろって大量生産のラインを確保しやがった。
「ちなみに、旦那様がメイド姿見せてくれないなら世界のどこでも働けなくするから。」
ユミコもユミコで恐ろしいことを言ってくれる。世界経済に%でからんでいるからってそこまでしていいのか。……よくなくてもできるのか。
ところでみんなが、レイナがここに着いた時点でそわそわしている。なんだ?
急に脈絡なく、
「いくぞクソどもー!!」
カオリが大声を上げると、みんなが
「「シャーッ!」」
とそれにこたえ、
「「最初はグー!じゃんけんポイ!」
とじゃんけんをした。これだけの人数がいるのに、たった一回で優勝を決めたのはカオリだ。ほんとに何をしたいんだ?
「じゃあ、約束通り!」
なにがなんだかな俺にカオリが腕を組んできた。
「クリスマスデートはこれからだぜ!」
まだ引っ張るのかよクリスマスネタ。こりゃ、正月はざつになるぞ……。
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