第5話

いつもは7時頃に起きるのに今日は6時に起きてしまった

それだけ楽しみと言うことだ


~3時間後~


集合は10時だけどもう着いてしまった

待ちきれなくて1時間早く家をでてしまったのだ

もしかしたら萩原も早く来るんじゃないか、なんて淡い期待も少しある




ーーーーーーーーーーーーーーー


萩原が来たのは20分後だった


「え、めちゃくちゃはやいね

わたし早く来すぎたと思ってたのに

どんだけ楽しみだったの?」


萩原はジーパンとスウェットというなんともラフ格好だった

さすがに1時間前には来なかったけど早く来てくれて素直に嬉しい


「いや、だって楽しみじゃないわけないじゃん

友達と遊ぶなんて初めてなんだから」


「そっか

わたしも一緒だよ!

じゃなきゃ40分前になんて来ないもんね」


ーーーーーーーーー


適当に喋りながら電車に乗って埼玉に到着した

他県に来たといってもそこまで雰囲気が変わるわけでもなかった


「いやー、久しぶりに来たね」


「うーん、小学生以来かな?」


「うそ、そんな来てなかったの?」


「別に用事があるわけでのないし」


「まあそうだね

理由もなきゃ来ないよね

それこそ一緒に遊びに行く友達でもいなきゃ」


「そうそう

萩原と友達になってなかったら

こんなとこにいるわけないし」


「だねー

平井くんと友達になれてよかったよ」


「ははは、ありがと」


「こっちも感謝してるよ」









萩原は十万石じゅうまんごくまんじゅうなるものを食べてみたいらしく和菓子屋を探すことになった

ちなみに十万石まんじゅうは埼玉銘菓らしい






適当にふらついていたら運良く目当てのものを見つけられた


一箱買って食べる場所を探しているとまたまた運良く公園があったのでそこで食べてみることにした

ちなみに代金は割り勘である


「けっこうおいしいね」


「うんうん、なんか山芋の匂いがしておいしい」


「このなめらかなあんこもいい味だしてるしね」


後で知ったことだが本当に山芋は入ってるらしい


しかしここである問題が発生したのだ


「「あ、」」


二人同時に手を伸ばしたが残りのまんじゅうは1個、この箱は5個入りだったのだ

というかなんで5個入りだったのに気付かなかったのだろうか


「いいよ、俺は2個で十分だから」


「って言ってもねー

なんか悪いし」


「いいって気にしないでよ」


「じゃあなんかゲームでもしない」


「ん?

どういうこと?」


「んーとね、このまんじゅうをかけてなんかゲームでもしない、ってこと」


「ああー、いいねそれ

おもしろそうじゃん」


別にまんじゅうが欲しいわけではないが、おもしろそうだ


「んで、何すんの?」


「英語禁止はどう?」


「え、英語禁止?」


「そう、英語由来の言葉をいったら負け

簡単でしょ?」


たしかに、いいかも


「わかった、その勝負乗った!」


「そう来なくっちゃ

あと負けたら罰ゲームね」


え?

なにそれ?


「え?」


「だって賭けてるものがまんじゅうだけじゃつまんないでしょ」


まあそう言われるとそうだ


「りょーかい

で、罰ゲームは何すんの?」


「あー忘れてた、じゃあ勝った方が決めるってことで」


「オッケー、じゃあそろそろ始めるか」


「よーし、じゃあ始め!」


英語禁止、単純だがなかなかいいと思う


「じゃあ平井くん、これなーんだ?」


彼女が取り出したのはスマートフォン、完全に英語を言わせにきているがさすがにそんなのには引っ掛からない


「携帯電話でしょ

さすがにそんなのには引っ掛からないって」


「だよねー

じゃあこれは?」


次に彼女が取り出したのは財布だった

全く意図がわからん


「えっと、財布」


「じゃあこれは?」


「100円玉」


「じゃあこれ」


「千円」


「じゃあこれ」


「すい・・じゃなくてICカード」


あっぶねー、Suicaって言うとこだった

ってかSuicaって英語じゃないじゃん

というか・・・


「あ」


「ふふふー引っ掛かったね」


ICカードってバリバリ英語じゃん

完全にはめられた


「くそー、こんなすぐ負けるとは」


「ははは、本当だよ

こんなあっさり勝てるなんてね」


「で、罰ゲームは何にすんの?」


「うーん、どうしよっかなー」


萩原はこっちをみてニヤリと笑う

なんか怖いんだけど


「えーと萩原さん」


「なにー?平井くん」


「あの、出来るだけお手柔らかにお願いします」


「え~

私をなんだと思ってるの~?」


「それはもちろん1番の友達」


そんなことを聞かれてないのは承知してるがこれは事実で本心である



「はは、ありがと

じゃあ罰ゲームは考えておくね」


それ一番怖いやつじゃん











他県に来たって言っても観光に来たわけでもないので、適当にふらついて適当に飯食って、適当な話しただけだが

まあでも、なんというか、めちゃくちゃ楽しかった


友達という存在の偉大さを感じた


ちなみにまんじゅうは萩原がちゃんと食べました

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