第27話:受け継がれる意志

「悪いけど容赦はしない、怪我をしてようと私はお前に勝って強さを証明するだけだ!」



澪音さんの声....このままじゃ意識が飛ぶ....



「ここまでだ早乙女!!ハァッー!!!」



「待ちたまえ」




この声は、劉禅師さん....?




「怪我をしているものをこのフェスタに出すことはこちらとしても良い気はしない、どれ、私が彼の容態を見てあげよう」



「誰だあんた!そこをどけ!」




試合中だって言うのに....劉禅師さんさ何を...




「王よ....お目覚め下さい。」




「ウッ!!アッ、アァーッ....!!」




痛みが更に増した...もう、意識が....




「劉禅師ィィイ!!!」




「七草か、この会場には居ないはずだが?」




師匠....なんでここに。




「殺してやる、跡形もなくだ....」




「フッ、私を殺すか?良いだろう、だがもう遅い、私たちの王はお目覚めになるのだよ」



「また眠らせれば良いだけだ」




2人とも何の話を....意識が....




「つかさっ!つかさ!何してるの!」



何だ?この声....僕は意識を失ったはずじゃ....




「もう!早く起きなさい!」




「はい?!」



あれ、何だここ、真っ白な空間?さっきまでフェスタの会場にいたはず....




「やっと起きたこの子ったら」



「うわっ?!ビックリした!!あ、すみません、どなたですか?貴方達は??」



すごい綺麗な人、それにすごく強そうな人、この人たちは一体?




「誰って、失礼ね!お母さんでしょ?!」



「と、お父さんだな?」



何を言ってるんだ?この人たちは、僕は親に捨てられて師匠に拾われたはず....




「てことは、僕を捨てたのって....」



「捨てた?!」



師匠からはそう聞いたはず....




「呆れたは....涼ったらそんなこと....」



「師匠を知ってるんですか?!」




この人たち何者なんだ?!




「知ってるって、だって後輩だし、もう!あの子を信じて息子を預けたって言うのに!!」



「まぁまぁ涼ちゃんがやりそうなことだろ?」



師匠が後輩?




「私たちは貴方を捨ててなんかいないわよ」




「じゃあ、なんで?」



捨ててないならなんで子供を1人で....




「私たちは、死んだのよ、2人とも」




「とある任務を任されてな」




死んだ....?




「じゃあなんで僕の前にこうしているのさ?」



「それはね、お父さんの異能力で貴方がもし窮地に立たされた時にこうして貴方の心の中で話をできるようにしておいたの、要は録音みたいなものね」




じゃあ、この人たちが僕の本当の....




「あれ....おかしいな....今まであったこともないのに、な、涙が....」



「涼、ごめんね、寂しい思いを....」



確かに寂しかった、だけど僕には師匠が居たし、それに何故僕が1人なのか、今こうして分かった。




「父さん、母さん、僕、異能力はないけど、こうして師匠のおかげで少しは立派になったよ」



「えぇ、見てたわよ、でも貴方の力はそんなものじゃないはずよ?」




僕はそんなものじゃない?




「貴方は私とお父さんの力を受け継いでる、でも少し強すぎてね?だから涼が封印したの」




「ちょっと待って?!僕は異能力なんて使えないよ?!使えそうもないし!!」




そんなこと考えたこともなかったし、今までフェスタに出たい一心で....




「そんな事ないわ、一度でも考えた事なかった?自分の体は普通の人間なのに丈夫だって」



「それは師匠との修行で.....」




確かに今思えば致命傷や後遺症が残っても仕方がない怪我でも....



「それに、外を見て?」



「何これ?」




ここに写ってるのって魅音さん、師匠、劉禅師さん....あとこれ誰だ?なんかモンスターみたいなのが....




「司、貴方よ!これ!」



「えぇ?!これが僕?!」




もう人の原型を半分くらい失ってる気が....




「あの劉禅師って男が封印をこじ開けてしまったのよ、涼はそういう貴方を狙う奴らから守るためにずっと頑張ってくれていたの」



「そうなんだ....」



そう言えば劉禅師さんって異能力者至上主義の....




「涼はね、貴方の封印を少しずつ緩めて将来的には異能力を使えるようにしようとしてた、だけどあの男が無理やりこじ開けたせいで力は暴走し、司はあんな風に化け物みたいになっているってわけ」



「なるほど....」



師匠は僕を本当に子供のように守ってくれてたんだ。




「どうするの!行くの?」




「もちろん!このままじゃ僕が暴れて大変なんでしょ?それに師匠に迷惑かけられないし」




父さんと母さんともう少し話したかったけれど




「流石私たちの子ね!」



「立派になったな、司」




僕は今、僕を支えてくれている人たちを助けないと。




「父さんからお前にプレゼントだ、ほら」



「何これ?石?」



すごい綺麗な石だな




「まぁ、お守りみたいなもんだ、さぁ急げ、そろそろ時間がないみたいだぞ?」




「あ、うん!父さん!母さん!ありがと!」




寂しいけど、この二人がくれたもの、そして師匠を信じて生きよう




「気をつけるのよ!司!」



「じゃあな!司!」



守らなきゃ、全てを!

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ブレイドウィザード!!〜無能力者が異能力者の集う学園に殴り込みます〜 @asadarumadesu

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