第14話:神鳴りを破りし無

「矢崎君に酷くやられたみたいね?」



「はい、でも負けません、絢辻会長」



始まる、遂にこの人と、学園最強と言われた絢辻会長との闘いが。



「早乙女くんはやっぱりどこまで言っても早乙女くんだね、これなら私も怪我をした君相手に全力を出せるよ」



「怖いですね、お手柔らかにお願いします」



もうこの際左腕は背中にあてて、いつもより半身のスタンスでいこう、剣速は落ちるかもしれないけどその分縮地で接近するんだ。



「では、皆さま!学園大注目!選抜戦Cブロックの決勝を始めたいと思います!勝つのは学園最強か?!無能力者のダークホースか!」



きっとどちらが勝っても負けてもこの試合にそれほど時間はかからない、何故なら僕も絢辻会長も、死にものぐるいだからっ....!!




「いざ尋常に開始です!!!」



相手の出方なんて伺ってられない、神雷を放たれて動きを封じられる前に決めるんだ!




「縮地っ....!!」



「速い!私の技を研究済みって訳ね....」



良し、会長は面食らってる、だけどこれは異能でもなんでもない、特殊な走り方で早く見せているだけだ



「神雷ッ....」



縮地を発動する前にこれを放たれていたら....

でもやっぱり速いと勘違いして読みがズレてるこれならこの雷撃も当たりはしないっ!



「まずいなー、早乙女くんこれほどとは、こんな派手な技、もうやめにしようか」



「そうしてくれたら何よりですよ会長っ!」



本当は何よりじゃない、まだ攻略できている神雷をこのまま放ち続けてくれた方が勝機はある




「決めさせていただきます、ハァッー!!」



「弐ノ型・迅雷っ....!」



クッ...なんだ今の...神雷?いや違う、早すぎてギリギリ見えた程度、あともう少し反応が遅ければ斬られてた...



「会長、なんですかそれ」



「ん〜?秘密だよ?」



とにかく恐ろしく速い斬撃、これだけは言える、でもあれをどう攻略するんだ?乱発されたら終わる。



「早乙女君も抜刀術、使えるでしょ?」



「まぁ一応、でも会長ほどじゃありません」



会長は何故、あの技をもう一度仕掛けないんだ?すぐにでも放てば勝つのは楽....いや、すぐに出せないのか?あの技、刀を一度鞘にしまって....そうか...そういう事だったのか。




「それじゃあ、もう一度行くよ?」



僕の推測が正しければあの技を破る方法はこれしかない、ハズレないでくれ。



「弍ノ型・迅雷。」



「ウッ....」


よし受けた、ここだ、ここしかない




「ハァッ!!」



「早乙女君、気付いたみたいだね、けどそれは君を倒すための私の罠だよっ!!!」



上段?!そんな、迅雷はクールタイムがあるんじゃ...



「迅雷ィッッー!!」



ま、負け....




「ハァッ!!」



「な....何故、避けれるの....」



左手を背に預けていてスタンスが半身にしていたから、咄嗟に避けることができたのか?



「しょ...勝者早乙女選手〜!!すごい!すごいです!無能力者と言われた彼はたった今!学園最強の異能力者に勝利しましたっ!!!」



「か、勝ったんだ....」



僕は、絢辻会長に....



「....バカ弟子....」



「師匠....やりました。」



きっと師匠は僕が勝ったらこうやって抱きしめてくれるんだろうと思ってた。



「司〜!!やりやがったなお前〜!!」



「蓮二、それに夜咲さん、我妻さんも」



無能力者の僕が仲間に囲まれてる....




「よく勝ったわ、早乙女くん」



「うん....まだ信じられないけど...次は夜咲さん、君の番だよ、勝ってね....ウッ....」



安心したからか?意識が遠のいて....




「つかさ!つかさ!おいつかさ!....」



師匠....




「って、ハァ!!」



「起きたかバカ弟子」



あぁ、また僕、我妻さんと戦った時みたいに気を失ってたのか。




「火傷のせいでかなり体力が消耗してたみたいだ、2、3日は安静にしていろだとさ」



「そうですか、師匠、僕は勝ったんですよね」



夢落ち、な訳ないか...




「あぁ、見事だった、偶然も重なったかもしれないが、お前は奴に勝ったんだ、おめでとう」



「良かった、師匠、僕達の勝利ですね」



あれ、なんで師匠後ろむくんだ



「ズズッ....バカ弟子が....安静にしてろっ」



「はいっ、師匠」



泣いてるんだ、師匠、良かった本当に、勝てたのが夢じゃなかったみたいだし、もう少し寝るとしようか....



「早乙女くん....」



ん?誰の声だ?聞いたことのある...ていうかなんか体がいつもより重いような....




「これはなに、早乙女くん」



「なにって....」



はっ?!師匠、なんでこんな姿でしかも僕の隣で寝てるんだ?!ていうかこの声は....



「あ、あははっ、おはよ、夜咲さん....」



「あはは?私はこの状況はなに?と言っているんだけど?決勝に勝ってその報告を一番最初にしに来たのにこれはどういうことなの?」



よ、夜咲さんの目が....



「って!夜咲さんも優勝できたの?!」



「楽勝よ」



良かった、寝てる間に負けてたらと思ってた



「おめでとう、夜咲さん」



「あ、ありがとう....」



今思えば、選抜戦の夜咲さんはほぼ無双してたもんなぁ、心配するまでもなかったか。



「ん....?あぁ、小娘か」



「小娘じゃないですし、早乙女君から離れてください....」



という感じで怪我をしたものの、無事に僕も夜咲さんも優勝する事ができた、次は学園対抗戦、もっと厳しい戦いになるかもしれないけど僕は立ち向かうだけだ。

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