第7話
委員長になったからといって、クラスでの地位が高くなったわけはもちろんなく、強いて利点を上げるとすればクラスメイトからいち早く名前を覚えて貰えたことくらいだろうか。
まあ、6人しか居ない男子生徒同士は、マイノリティ仲間としての謎の連帯感からか、入学式の直後にわりかしすぐに打ち解けていたけど。
委員長就任直後のため、特に目立った仕事は無く過ごしていたけど、今日は授業を終えた後にずっと憂鬱のタネだった委員長会議への出席が控えていた。
どうせ、1年の自分が何か特別に発言を求められたりすることはないだろうから、何事もなく早く終わることだけを祈り、会議室に入った。
「お疲れ様、遠藤さん」
すでに来ていた副委員長の遠藤さんは、別のクラスの女子と話していたが、一応挨拶をしておいた。
「お疲れ、藤井君」
「真央のクラスは男子が委員長なんだ。珍しいね」
遠藤さんと話していた女子生徒は、僕を見てそんな感想を口にしたけど、なんとなく他の生徒からも注目されているような気がするのは、僕の考え過ぎだろうか。
とりあえず、1―Dのプレートが置かれている席に座り、会議が始まるのを待つことにしよう。
開始時間までは間があって、少しでも気を紛らわすために、読みかけの文庫本を出して読むことを考えたけど、そこまでの時間の余裕が無いのが悩ましい。
ぼちぼち、他のクラスも集まりだしてきたけど、案の定男子生徒は一人も居ない。
もしかして男子は自分ひとりなのかと少しずつ不安になってきたときに、一人の男子生徒が会議室に入ってきてくれた。
しかも、その男子生徒は前に部活動勧誘をきっぱりと断っていた男子で、同じ1年生ということがわかり、窮地に現れた救世主のように見えた。
彼は、1―Cのプレートが置かれた、僕の隣の席に腰を下ろした。
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