第22話まあばあちゃんと桜の花

まあばあちゃんは、お花が大好きです。その中でも桜の花が一番大好きです。


さぁ、春です。お日様は朝からぽかぽか、とっても気持ちのいい日です。まあばあちゃんも、うきうき、そわそわ、今朝もジロとお散歩です。


昨日の公園の桜の様子からみると、今日は、きっと満開のはず。


「ねっ、ジロ。今日は公園の桜を見て行こうね」


まあばあちゃんがお散歩で通る公園に大きな桜の木があります。大きく枝を広げた桜の木の姿は、それはそれは見事な物です。


いつもの公園がいっぺんに華やかになります。まあばあちゃんはゆっくりシルバーカーを押して公園に向かいます。


「まあちゃん」


「あら、お春ちゃん」


お春ちゃんがまあばあちゃんを公園の入り口で待っていました。


「良くなったの、お春ちゃん」


先日、救急車で、病院に運ばれていったお春ちゃんがいたのです。


「いつもの病気、ほら、ここの調子が、また悪なってなぁ」


と、お春ちゃんが胸に手を当てて言いました。心臓が悪いのです。


「大丈夫? 無理したらだめよ」


「うん、いつもの事やから」


お春ちゃんは笑いながら答えました。


「それより、まあちゃん。桜の木の下へ行こう。きっと来ると思って待ってたんや」


お春ちゃんはクリーム色の肩掛けを掛け直すと、まあばあちゃん達を促しました。


そして、まあばあちゃんとお春ちゃんは大きな桜の木の下のベンチに仲良く腰掛けて、美しい桜の花に見とれていました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る