第30話 下野
「宇都宮正子! 打ち取ったり!」
しれっとポーちゃんの野望、天下布武は続いていた。
「信長の野望も最初は大名だけで、武将なんていなかったのね。2、3とか続けていくうえで、どんどんデータが増えていったのね。」
簡単に良い物はできない。
「それでいくと初イベントの竜の探求なんか、雑魚なしの魔王ドラゴン・キングと戦って勝てるかどうかだけでいいじゃない。」
極論である。
ポーちゃん。
ゴットカード。
宇宙人。
「あれ? 私は夢でも見ていたのかな?」
ポーちゃんは病院から自宅に戻ってきた。
「夢じゃないよ。」
「カゲカゲ!?」
ポーちゃんの部屋の窓から宇宙人のカゲカゲが現れる。
「ポーちゃん、地球が危ないの!」
「地球が危ない!?」
カゲカゲは地球の危機をポーちゃんに知らせる。
「悪い宇宙人が地球で流行っているゴットカードに目を付けて、ゴットカードを使って悪いことをしようとしているの。」
「なんですって!?」
「ポーちゃん。僕と一緒に悪い宇宙人と戦ってほしいんだ。」
「分かったわ! 私は悪い宇宙人と戦う! そして地球を救うんだ!」
子供のポーちゃんは正義漢の強い女の子。
「ちなみに悪い宇宙人の名前は何て言うの?」
「テスラ―。全宇宙の支配者テスラ―皇帝よ。」
アメリカの車メーカーのテスラと宇宙戦艦ヤマトのデスラー総統を足して割った感じだ。
「なんて悪い奴なの! テスラー皇帝! 私が倒してやる!」
ポーちゃんは全宇宙の支配者と戦うことになった。
ダメだ。なんかムズムズする。
やはり今の世界の敵はロナ。
お馴染みのロナ・ウイルス。
ウイルスをポーちゃんとお友達の友情で治すのだ!
完璧だな。
ロナちゃんにしよう。気持ちロナちゃんもお馴染みでお約束な気がする。
「全宇宙の支配者ロナ女王だ!」
「ロナ女王!?」
「ロナ女王は悪いウイルス。ロナ・ウイルスをバラまきたくさんの星々を壊滅させてきたんだ。」
「なんて悪い子なの!? ロナちゃん!?」
恐るべし! ロナ女王!
ほぼこれでアンパンマンとバイキンマンの二極化ができましたな。
「ロナ・ウイルスは目では見えないけど、既に世界中に散布されているんだ!」
「なんですって!?」
ロナちゃんの地球制服計画が始まっていた。
ピキーン!
その時、ポーちゃんは頭痛のような感じを受ける。
「痛い? 何? この感覚は?」
ポーちゃんはカゲカゲから宇宙の力を注入されてサイキック能力に目覚めつつある。
「ポーちゃん。」
そこにポーちゃんママがやって来た。
「なに? お母さん。」
「ポーちゃん! あなたもロナ・ウイルスに感染しなさい!」
なんとポーちゃんママもロナ・ウイルスに感染していた。
「お母さん!? どうしたの!? いつものお母さんじゃない!?」
「ポーちゃんのお母さんもロナ・ウイルスに感染しているんだ!?」
「なんですって!?」
ポーちゃんは自分のお母さんがロナ・ウイルスに感染していることを知る。
「カゲカゲ、お母さんを元のお母さんに戻す方法はないの?」
「ゴットカードだ! ゴットカードで勝負して勝ってロナ・ウイルスを退治するんだ!」
「分かったわ! 必ずお母さんを治して見せる!」
決意するポーちゃん。
「お母さん! ゴットカードで勝負よ!」
「かかってきなさい! ポーちゃん!」
「ゴットカード・ファイト!」
母と娘のゴットカードバトルが始まる。
ポーちゃんのゴットカード。歩兵1枚。
歩兵さん レベル1
HP3
MP2
攻撃力3
防御力2
素早さ2
魔法力2
運2
ポーちゃんママのゴットカード。ドラゴン1枚。
ドラゴン
レベル30
全ステータス60
「いでよ! 歩兵さん!」
「おお!」
ポーちゃんはゴットカードから歩兵さんを召喚する。
「戦うとは言ったものの、お母さんにゴットカードバトルで勝ったことがないのよね。」
圧倒的なステータスの差にたじろぐポーちゃん。
「まずポーちゃんは同じ歩兵のカードを持っているね。それならカードを重ねるんだ。そうすれば全ステータスは2倍になるんだ!」
「2倍! すごい! 早速やろう!」
ポーちゃんは歩兵のカードを2枚重ねた。歩兵のステータスが2倍になった。全ステータスが4を超えたのでレベルが2に上がった。
歩兵さん 2枚重ね。レベル2
HP6
MP4
攻撃力6
防御力4
素早さ4
魔法力4
運4
「やったー! 歩兵さんが強くなった! わ~い!」
大喜びのポーちゃん。
「なに戦いの最中によそ見してんのよ! くらえ! 必殺! ドラゴン・ファイア・ブレス!」
圧倒的なステータスの差。悪いウイルスに操られている
「やられる!?」
ポーちゃんは一瞬で負けることを直感した。
「ポーちゃん! 僕の元気をあげるよ! コズミック・パワー!」
カゲカゲが叫ぶ。
「ギャアアアアアアー!」
ポーちゃんはドラゴンの炎に呑み込まれた。
「終わったわね。クスッ。」
ポーちゃんママは勝利を確信していた。
「まだ! 終わっていない!」
炎の中からポーちゃんの歩兵さんが現れる。いや、歩兵さんの様子が変だ。
「な、なんだ!? 私の見たこともないゴットカードだ!?」
現れたのは漆黒の歩兵さんだった。
「こ、これは!? 私の歩兵さんはどうなっちゃったの!?」
「こいつは僕の星の戦士。影の騎士シャドー・ナイトだ!」
「シャドー・ナイト!?」
「ポーちゃんの歩兵さんにコズミックパワーを注入したんだ。」
ポーちゃんの歩兵さんは宇宙の力で生まれ変わった。
影の騎士シャドー・ナイト。レベル100
HP200
MP200
攻撃力200
防御力200
素早さ200
魔法力200
運200
「すごい!? 力が漲ってくる!?」
ポーちゃんはシャドー・ナイトからとてつもないパワーを感じる。
「シャドー・ナイトは影だからドラゴンの炎も食らわないんだ。」
蜃気楼のミラージュならぬ、影のシャドー・スキルである。
「これならドラゴンに、お母さんに勝てるかもしれない!」
戦意を取り戻したポーちゃん。
「いくよ! シャドー・ナイト!」
「おお!」
ポーちゃんのシャドー・ナイトがドラゴンに向けて突進していく。
「シャドー・ソード!」
シャドー・ナイトが剣を抜き構える。
「必殺! シャドー・スラッシュー!」
シャドー・ナイトがドラゴンを必殺技で攻撃する。
「ギャアアアアアアー!」
ドラゴンは一撃で倒された。
「正義は勝つ!」
勝ち名乗りをあげるシャドー・ナイト。
「やったー! 勝った! わ~い!」
大喜びのポーちゃん。
「お母さん、大丈夫?」
「あれ? 私は何をしていたのかしら?」
ポーちゃんママが目を覚ました。
「つまずいて転んで気絶したのよ。」
「ええ!? 私、そんなにおっちょこちょいじゃないわよ!?」
「いいえ! おっちょこちょいよ! だって私の大好きなママだもん!」
いつものお母さんに抱き着く笑顔のポーちゃんであった。
めでたし、めでたし。
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