第5話 サライの町

「しまった!? 私の名字がない!?」

 ミキちゃんは自分の名前がないことに気がついた。

「自分の名前を忘れるなんて仕方がないな。ミキちゃんは三番目の登場だから高橋にしよう。あなたは今日から高橋ミキよ!」

「ありがとうございます!」

 命名、ポーちゃん。

「よし! 今日から私は高橋ミキよ! ワッハッハー!」

「ということは、レアカードのマウス・ナイトとをガチャで引き当てた、ポーちゃんのクラスメイトの高橋ミキちゃんよ。私たちは二人でパーティーを組んで、イベントの竜の探求に挑んでいるって設定に修正ね。アハッ!」

「緊急メンテナンスね!」

 簡単に編集される設定。


「ということはどういうこと!?」

「私、住んでいる家が現実に無いんですけど? どうしましょう?」

 イベント出身のミキちゃんには現実世界には家族はいなかった。住む家すらない。

「ドラム缶でいいんじゃない?」

「ホームレスは嫌! 絶対に嫌よ! これでも恋する乙女なんですからね。」

「あ、そうだ。私たちは小学一年生だったんだ。」

 ポー、ポケキョウ。

「家かマンションを買っちゃえば?」

「そうしましょう。」

 不動産屋に行くポーちゃんたち。

「すいません。住むとこ下さい。」

「1億円です。」

「・・・・・・。」

「マジか!?」

 現実世界で住む所を手に入れるのは至難の業であった。

「分かったわ。私は孤児で教会で育てられた心優しい女の子という設定にしておきましょう。」

「うん。それがいいね。アハッ!」

 ミキちゃん出生の場所が決まった。

「でも、こうやって物語の設定を決めていくだけでも物語になるわね。」

「そうね。こだわらなければ、これでいいのよ。アハッ!」

 物語の書き方を覚えた。


「ちょっと待った!」

「愛ちゃん!?」

 そこに鈴木愛ちゃんが現れる。

「ゴットカードでパーティーが組めるなら、マブダチの私をどうして誘わないのよ!」

「マブダチ!?」

 その言葉に違和感を感じるポーちゃん。

「そうよ。私とポーちゃんはライバルであり親友であり、お友達よ!」

「じゃあ、ここからは3人で行きましょう。それでいいでしょ?」

 ミキちゃんが仲裁に入る。

「ミキちゃん! あなたにはポーちゃんは渡さない! 私とゴットカードで勝負よ!」

 愛ちゃんはポーちゃんをかけてミキちゃんに勝負を挑む。

「だ、ダメだよ!? 愛ちゃん!? ミキちゃんに勝負を選んでは!?」

 必死に止めるポーちゃん。

「大丈夫だよ。ポーちゃん。わたしが勝つから。アハッ!」

 気楽に勝てると思っている愛ちゃん。

「ゴットカード・ファイト!」

 愛ちゃんとミキちゃんのポーちゃんをめぐる戦いが始まる。


 5秒後。

「ギャアアアアアアー!」

 秒殺される愛ちゃん。

「これでポーちゃんは私の物ね。アハッ!」

 ミキちゃんの勝利の引き笑いが響く。

「なんなの!? ミキちゃんのゴットカードは!?」

「あれ、超超レアなんだ。」

「超超レア!?」

「超レアの勇者トロや魔王ドラゴン・キングよりも上限が強いのよ。」

「なんですと!? そんなものがあるというのか!?」

 超超レアの存在を知った愛ちゃん。

「こうなったらお母さんのクレジットカードで課金しまくって、私もマウス・ナイトを手に入れるんだ!」

「やめい! 消費者センターに通報されるぞ!」

 仲良しのポーちゃんと愛ちゃん。

「う、羨ましい。」

 勝負に勝って、戦いに負けたミキちゃんは二人の関係を羨ましく眺める。


「さあ! 次のサライの町に行きましょう。」

「さらば! サライよ!」

「それはシンジ・ムラタニよ。」

 ポーちゃんたちは次の町に向かった。

「3人分のステータスを表示するとなると、かなりの文字数を使用するはず。さっさとサライでモンスターを倒してしまいましょう。」

「おお!」

「ミキちゃんがいると物語が前に進むから安心するわ。」

「ありがとう。」

 談笑しながらサライの町を目指した。


「待っていたぞ! 勇者ポーちゃんたち!」

 サライの町の入り口に魔王の手下が待ち構えていた。

「待ち伏せ!?」

「ポーちゃんのおまけにされた!?」

「しかも一くくりに!?」

 3人いれば3通りの思うことがある。

「私は魔王ドラゴン・キング様の部下、魔法使いだ。おまえたちの命はいただこう! おまえたちは次のイラマの町でフェアリー・フルートを手に入れることはできないのだ!」

 魔法使いが現れた。

「情報提供ありがとう。アハッ!」

 敵にも感謝するポーちゃん。


魔法使い。

レベル5

全ステータス10

お金50円。


「負けるもんかと勇ましく!」

「欲しがりません!」

「勝つまでは!」

 ポーちゃんたちも気合十分。

「いくよ! 歩兵さん!」

「おお!」

「負けるな! 騎士!」

「おお!」

「出るわよ! マウス・ナイト!」

「おお!」

 魔法使いを迎え撃つのであった。


「マホマホ! 灼熱地獄を食らうがいい! 火の魔法ファイア!」

 魔法使いの魔法攻撃。

「ギャアアアアアアー!」

「熱い!? 体が解けそうだ!?」

 絶対絶命のピンチ。

「ジャンジャカジャンー! 私には効かないもんね。」

 そこにミキちゃんのマウス・ナイトが立ち塞がる。

「なんだ!? おまえは!?」

「私? 私は超超レアを引き当てたミキちゃんだい! 覚えておきな!」

 ミキちゃんは一くくりにされたことを根に持つタイプだった。

「いくわよ! マウス・ナイト!」

「おお!」

「必殺奥義! 窮鼠猫を噛む!」

 ネズミが魔法使いに噛みついた。

「ギャアアアアアアー!」

 魔法使いを倒した。

「どんなもんじゃい!」

 ミキちゃんたちは勝利した。

「正義は勝つ!」

 歩兵さんたちは勝った。

「やったー! 勝った! わ~い!」

 大喜びのポーちゃん。

「ありがとう。アハッ!」

 いつも明るいポーちゃん。


ポーちゃん。

36戦35勝。

お金990円。


ポーちゃん。

内政0

外交0

武力3

魅力100


歩兵さん。

HP10

MP10

攻撃力10

防御力10

素早さ10

魔法力20

運8


職業

歩兵。ステータス補正無し。

自称、武器投士。特殊。ニュータイプ用のサイキックジョブ。


装備

武器、銅の剣。攻撃力1

   ナイフ36本。

体、銅の鎧。防御力1

腕、銅の盾。防御力1

頭、銅の兜。防御力1


アイテム

なし。


スキル。

投石。

投短剣。

投剣。

摩擦で火をつける。

火投石

火投短剣。

火投剣。



愛ちゃん。

101戦100勝。

お金1000円。


内政0

外交0

武力3

魅力100


騎士

HP20

MP20

攻撃力20

防御力20

素早さ20

魔法力20

運20


職業

歩兵。ステータス補正無し。

自称、武器投士。特殊。ニュータイプ用のサイキックジョブ。


装備

武器、銅の剣。攻撃力1

   ナイフ36本。

体、銅の鎧。防御力1

腕、銅の盾。防御力1

頭、銅の兜。防御力1


アイテム

なし。


スキル。

騎士斬り。



ミキちゃん。

総合評価 S

内政100

外交100

武力100

魅力100

お金50円。


マウス・ナイト。

HP100

MP100

攻撃力100

防御力100

素早さ100

魔法力100

運100


職業

ねずみ騎士、干支12神の一人。


装備

武器、ねずみの剣。攻撃力100

体、ねずみの鎧。防御力100

腕、ねずみの盾。防御力100

頭、ねずみの兜。防御力100


アイテム

なし。


スキル。

ねずみ斬り。

窮鼠猫を噛む。


「三人分のステータスは長いな~。」

 それだけで約600字ある。

「そんなことより早くサライの町で休もうぜ。」

「そうそう。私もシンジ・ムラタニに会いたいわ。」

「いるのかよ!?」

 いつの間にか重要人物にされているシンジ・ムラタニであった。

「この町も何にもないな。しけてるな。」

 ポーちゃんたちの冒険はつづく。

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