第22話 超絶美少女とプール

 その日は琴美の一言でプールに行くことになっていた。


「蒼月君。プール行こうよ!」

「本気か?」

「だって~。こんなに暑いんだもん」


 美琴はソファーに座ってうちわをパタパタとさせていた。

 確かに今年の夏は暑かった。外を少し歩いただけでも汗をダラダラが溢れ出てくる。


「エアコンつけてるだろ」

「そうだけど、そうじゃないの!」

「どういう意味だ?」

「もう! 夏といったら海とプールでしょ」

 

 琴美は頬を膨らせてそっぽを向く。 

 

「そんなに行きたいのか?」

「い、き、た、い!」

「ていってもな。俺、水着持ってないし」

「買いに行く?」

「めんどくさい」

「じゃあ、学校ので」

「それは、それでどうなんだ?」

「もう! 行く気ないでしょ」

「バレたか」

 

 俺はおどけて言った。

 琴美はまたふてくされたようだ。そんな琴美の頭を俺は優しくなでた。


「分かったよ。行こう」

「本当に?」

「ああ、だけど水着買ってからな」

「うん! 水着があったら海にもいけるね」

「行く気なのか?」

「もちろん。夏は長いからね」


 美琴はソファーの上に立ち上がってなぜか胸を張った。その顔は嬉しそうだった。

 ということで、俺は水着を買って、プールにやってきているというわけだ。

 着替え終わった俺は琴美がやってくるのを待っていた。


「蒼月君、お待たせ~」


 美琴が走ってこっちに向かってくる。豊満な胸を揺らしながら。

 それだけでも注目を浴びそうなのに、そのうえ、美琴は美少女だからそこら辺の男たちが一斉に視線を向けていた。


「待った?」

「……いや」

「痛い」


 俺は照れ隠しに美琴の頭に軽くチョップをくらわせた。まったく、自覚しろよ。直視できないじゃないか。目のやり場に困って仕方がない。


「何するの!」

「悪い、つい」

「もう! そんなことするより何か言うことがあるんじゃないの?」


 美琴がグイっと寄ってきた。だから、近づくなって。俺は少し後ずさりをした。

 ピンク色のシンプルな水着を琴美は着けていた。


「逃げるな!」


 俺は琴美に手を掴まれた。


「感想を聞くまで逃がさないから」

「……よく似合ってます」

「聞こえないんだけど~」

「よく似合ってるよ!」

「ありがと」


 琴美は満足したのか、俺から手を離した。その顔は赤くなっていた。どうやら、琴美は琴美で恥ずかしかったらしい。


「入ろっか?」

「……そうだな」


 俺たちはゆっくりと水になれるようにプールの中に入った。気温が高かったので冷たい水は気持ちがよかった。

 横で琴美が子供みたいにはしゃいでいる。


「それ!」

「……やめろって」

「やめない~」


 琴美が俺に水をかけてくる。


「そんなことしてくるやつにはこうだ」


 俺は琴美を捕まえて、こちょこちょをしてやった。琴美の素肌の感触が手に伝わってくる。スベスベで真っ白な肌だった。

 

「やめて、よ」

「もう、水かけてこないか?」

「かけない、から、やめて」


 俺がこちょこちょをやめると、笑いすぎて疲れたのか、美琴は肩で息をしてた。


「なんて、嘘だよ~」


 そういって、美琴はまた水をかけてきた。そして、水の中を走って逃げて行った。俺は、そのあとをゆっくりと歩いて追いかけた。美琴が楽しそうで何よりだ。

 そのあと、俺たちは疲れるまでプールの中で遊びまくった。

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