転生委員会~来世、あなたは何に生まれ変わりたいですか?~

@orangeyuki

第1話 出会い

四月、卯月、April。

 世間では、この月の事を出会いの季節と呼ぶらしい。

 新しい出会いが煌めく青春を生み、恋愛に友情にイベント。心躍る桜色の新生活が幕を開けるんだ、とか。

 ……ただ、俺にとっての出会いはどうやら違っていたらしい。

 夜。

 涼しいと肌寒いの狭間をうろつく透明感の強い空気の中、夜気を纏った一人の女子高生はこちらに向かって妖しく微笑んだ。

 目の前の少女が何者なのか、今一体どういう状況に置かれているのか、ひどく混乱した状態で俺は目を見開いていた。

 それからいくつかのやり取りを交わした後、俺は丁寧に呼吸を整えてから、おずおずとこの言葉を切り出した。

「お前は……何者だ?」

 彼女は依然沈着な態度を見せたまま、一定の歩調でこちらへと歩み寄ってくる。

 あまりにも静かで音のしない所作に微かな怖気を感じていると、少女はゆっくりと口を開いて短い言葉を告げた。


「初めまして。私は転生委員会です」






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る