第7話

「なんだって!」


戸惑いながらすぐに立ち直ったバルターはその兵士に


「転移者たちを頼む」


兵士はその言葉を受け取った 。


「了解です、バルター騎士団長!」


その言葉を聞くのを最後にバルターは、直ぐに模擬場から姿を消した。


姿を消したバルターの代わりに兵士が転移者達の避難を誘導を開始した。


「まっ、待ってくれ」


声を上げたのは悟だった


「魔王の因子とやらが出てきたんだろ、俺達が行かなきゃ倒せないんじゃないのか?」


悟は転移した時に王から話された事を思い出した。


「はい、倒すことはできませんが、気絶させることはできます」


「気絶……できるんですか?」


「最初に魔王の因子を城の地下に閉じ込めたのはバルター騎士団長です、あの人が現在この国にいる最強の騎士ですから」


返された悟はそれでも自分達に出来ることはないのかと思ったが。


「今は逃げてください、まともに渡り合えるのはバルター騎士団長だけです。」


それを聞いた、悟、転移者達はバルターの強さを再確認し大人しく言うことを聞いて避難を開始した。



城の近くで倒壊した家屋や瓦礫、その真ん中先には住宅地を破壊する一つの影があったその影の正体こそが魔王の因子に侵されたもの、


「先生……殺す……殺す……」


その姿は破壊を楽しむかように建物を破壊していた、


その姿は破壊の化身になったかのような風貌であった。


破壊の化身とかした化け物の前に現れたのはこの国の騎士団長バルターの姿が見えた。


「ヤクタ!もうやめろ、俺がちゃんと見ていなかったのは悪かっただからもうやめてくれ!」


ほとんど面影の無いヤクタは反応し、バルターの方向を向いた。


その目は標的を見つけた獣のように殺気を放つと、目を向けると数十メートル先にいるバルターを斬りかかった。


「先生殺す、僕の復讐を邪魔して、奴らを助けた、僕よりアイツらを」


恨みを言いながら、一閃、二閃、三閃、バルターに剣で斬りかかっていた。


「やめろ、お前はそんなやつじゃなかっただろヤクタ!」


バルターはヤクタの攻撃を最初こそ避けてはいたが、ヤクタの攻撃は前回バルターが戦ったときより鋭く、そして速くなっていた、最後にはバルターが剣を抜いた。


二人の戦闘は、剣と剣が当たる音が聞こえると周りの家屋が衝撃波で壊れていった。


「強いなぁ……先生は強いなぁ、僕には無かった強さだ、どうして僕には……なぜそんな強さがなかったんだ、憎いその強さが憎い」


ヤクタはバルターとの剣交わらせることに、バルターの強さを嫌というほど本能で知った。


「・・・」


しかし、バルターは何も答えなかった。


この強さを手に入れるために死ぬほどの努力をバルターにもあった。


しかしヤクタもまた死ぬほど努力していたのを見ていたバルター、しかし、ヤクタはそれでも他の同級生達より弱かった。


バルターは自分が見ているだけではなくしっかりヤクタに指導していれば変わってたのかもしれないと、魔王の因子に取り込まれた時に思っていた。


「私が見ているだけではなく、指導もしていれば変わったのかもしれん、だがそれで強くなっても自分のためにならないと思っていた、だがお前のおかげで考えるきっかけが出来た、自分で考えるだけじゃなく、人に教えてあげる、それだけでももしかしたから変わっていたのかもしれないな」


ヤクタに話しかけるも全く耳を持たずヤクタはもう片手の方に剣を創出し二刀でバルターに襲いかかってきた。


「殺す、殺す、殺す」


その猛攻をバルターは剣一本で捌き、隙を見てはヤクタに攻撃を与えていた。


ヤクタの攻撃を捌き、傷をつける程度の攻撃しか与えることが出来ないバルター、しかし、その傷はすぐに再生される。


バルターはその様子を見て、気絶に持っていくのはかなり不可能に近いと感じていた。


被害が拡大する住宅街。


ヤクタの剣戟を弾く、その戦いは既に人間の体ではおかしい動きをしていた。


バルターの攻撃はヤクタに当て怯ませようとしても直ぐに立ち直るヤクタに対して意識を刈り取る事ができない所に一つの声が聞こえた。


「バルター先生!」


戦闘域の外から聞こえたその先に居たのは、


「悟!」


だった。

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