第3話 いざ戦闘領域へ

病院の患者達のソール情報が操るシップは、見事な航行を見せてジュガ達がいる領域に到達した。

「ここいらから、少しヤバくなりそうじゃのう。」と老師がビュワーを見ながら言ったので

「まだ、長距離スキャナーには、何も反応ありませんが。」

「ふむ、あの辺が一寸怪しいのう。」とビュワーに写る少し歪んだ場所を指した途端に船体に衝撃が走った。

「時空の亀裂の様じゃのう、まあ、地雷原かのう。」と言いながら、船のソール達に何やら指示をすると、シップがとんでもない航路を導き出し進み始めた。

「わー、なんだ、このグニャグニャの航路わ!大丈夫ですか?」

「ふむ、まあーベテランパイロットがおるから心配はいらんじゃろう。」と涼しげに喋る老師の顔を僕はまじまじと見ていた。

そんな、曲芸飛行とも思える状況が終わると、一つの惑星が見てきてその途端に兄から連絡が入ってきた。

「空間機雷原を突破してくるとは・・・」

「誘導ビーコンを送るからその指示に従ってちょうだい。」その声は、ジュガの声だった。

「ふむ、何とかたどり着いたのう。」と老師の言葉に、僕も少し安心しながら着陸メソッドを入力した。

その惑星は、ほぼ全域がジャングルの様な状態で、高温多湿で太陽もまぶしく所々に大きな湖があり、その一角に僕らは誘導された。湖畔の草原にサルベージャー達のキャンプがあり、とても紛争地域とは思えないほど、のどかな景色であったが、出迎えてくれた兄とジュガとボゾン生命体のアイが

「なんとか休戦にこぎつけて、この惑星に戻ってきた所なんだ。」

「ああ、結構しんどかったな。」と兄が

「でも、まだ油断はできないわ。」とジュガが夫々に短い状況説明をした。

ソールAIを手にした、老師が

「まあ、用事は手短に済ませた方が良さそうじゃの。」と言って、ジュガの元へ行くと

「お久しぶりです。教官。」と言いながらAIを手にした。

「知り合いなのお?」と僕が言ったので

「サルベージャーのアカデミーの教官だった人だよ。凄くしごかれたけどね」と兄が説明してくれた。

ぼくらは、ジュガ親子のために、防御フィールドを作り、少し離れた場所から見守っていた。だぶん、ソールAIが作り出した空間の中で親子の対面がされているだろうと思いながら成り行きを見守っていると、空間から出てきたジュガの後に、巨大な赤ムカデの姿があり、老師と何やら話をした後に消えて行った。

「父の遺産は、今の私には重すぎて、少しづつ貰う事にしたわ、奨学金見たいなものかな、当分は、統合体次元体に管理してもらうわ。」とジュガが結果説明の様な事を話してくれた。

僕は、兄達としばらく近況報告の様な話をしてから、船に戻ろうとした時に、緊急報告が入ってきた。

「ちぇー、ブラックイーグルが休戦協定をやぶりやがった。遊星爆弾を打ち出している。」と隊員の一人が報告してきた。

「標的は、僕らみたいだな。僕らごと休戦協定を消し去りたいみたいだ。」と兄は少しガッカリした様子で言ったので

「ヤバそうなの?」と聞くと

「まあー、想定の範囲かな。」と言った後に、

「教官たちは、とりあえず避難してください。裏口を開けておきます。」

「ふむ、長いは無用じゃのう。では、わしらもおいとまさせて頂くかのう」

僕らは兄が開いてくれた亜空間トンネルを通り、機雷原を抜けて帰路につこうとした時に、遊星爆弾を探知した。

「行きがけの駄賃じゃな。」と老師が言って、シップを超加速させ時空歪を作り出して巨大隕石をユータンさせ元来た軌道へ逆向きに送り返してしまった。

「これで、少しはこりるだろうて、一寸細工をしてあるがの。」なんでも、遊星爆弾に細工して、敵惑星のロシュの臨界点付近で隕石を粉々にして惑星全体を覆いつくす様にしたらしかった。

あとから兄に聞いた話だと、老師の作戦が功を奏して、拠点惑星の周りの隕石の破片を片付けるはめになった事で、ブラックイーグル側から正式に休戦協定の実施を申し出たそうだった。

フォボスに戻ってしばらくしてから、ジュガの父親の葬式を行うために、兄とジュガが病院を訪れた。偉大なムカデ長老の葬式は、伝統に乗っ取った火葬であったが、長老の遺体は太陽に投下されその幕を閉じた。

「日輪浄化て言うの、それまでのけがれを全て焼き尽くして、新たに生まれ変わると言う儀式よ。」と一寸寂しそうにジュガが説明してくれた。

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