タイトルの「代価はマルタの鷹が一羽」という一文だけで、もう惹かれます。
本作の魅力は、聖ヨハネ騎士団やマルタ島の攻防といった歴史ロマンを、単なる知識披露で終わらせず、“その時代を生きた人間たちの物語”として立ち上げているところにあります。火縄銃の時代、イスラム勢力との戦い、キリスト教内部の対立という大きな歴史のうねりの中で、騎士団がどう立ち、どう傷つき、どう祈ったのかが感じられる。さらに吟遊詩人の少年という不穏な要素が入ることで、史実ベースの重厚さに、物語としての妖しさまで加わっているのが面白いです。歴史好きにも、物語好きにも刺さる作品だと思います。