カイル達に、お礼を伝えた漁師達。

「そろそろ行くか？」

「そうですね。先に進むことにしましょう。」

「今の皆さんなら、もう大丈夫です……頑張りましょう！」

　カイル達は挨拶をすると、漁師と別れた。

　クロス町まで、帰ってきた。

　ミーナが先程まで話をしていたこともあってか、残っている町の人もいた。

「あなたは、先ほど演説をされていた方ですよね？」

「はい、そうですが……　先程は私の話を聞いてくださり、ありがとうございます。皆さんの受け入れてくださった姿勢は、漁師の方々にとっても、心強いものだったと思います。」

　ミーナの言葉を聞いた町の人は、話を終えると、自分達の家へと帰っていった。

　カイル達も、タイロンが手伝って通行ができるようになった道に向かって歩く。

　少し歩くと、タイロンと漁師達が作業をした形跡があった。

　これなら、反対側からクロス町にやって来る人達も通ることが出来そうだ。

　タイロンは作業を手伝って良かったと、改めて思った。

　カイル達は、道を通って次の場所を目指す。

　その後の漁師達。

　メレンポッドに行って、クックと話し合う。

「あの、クックさんという人を探しているのですが？」

「私がクックですが……　あなた方は？」

「クロス村で、カイルさん達に助けてもらった者です。漁師をしているのですが、なかなか上手くいかなくて。話をしたところ、クックさんが力になってくれるかもしれないということだったので、会いに来ました！」

「そうでしたか。カイルさんの頼みなら、断るわけにはいきませんね。ですが、条件があります。私は、料理人です。魚の鮮度などが良くなければ、お客様に提供することはできません。したがって、仕入れをお断りさせて頂くこともあるかもしれません……　それでも、宜しいですか？」

「もちろんです。ありがとうございます。」

　話し合いが終わったようだ。

　クックの計らいで、チャンスをもらった漁師達であった。

　ここで、話を少し巻き戻す。

　カイルとタイロンが、アルメスク王国に剣を届けた後のことだ。

　カイルが暮らしていた村を訪れたイカチ村の村長が、ダグラスと話をしている。

「今日は、わざわざ来てもらってすまんかったの……」

「それは別に構わんが、何かあったのか？」

「これじゃよ！」

　ダグラスが新聞を取り出す。

　そして、ある記事を見せた。

「ほぉ！　さすがに、届けた人の名前は伏せられておるようじゃが、カイルとタイロンが無事に剣を返せたようじゃな！」

　イカチ村の村長は、嬉しそうに話す。

　だが、ダグラスの表情は曇っている。

「どうした？　浮かない顔をしておるようじゃが……」

「カイルがわしのことを話したのか、アルメスク王国のバトラ王から手紙を貰ってな……　どうやらこれから、あらゆる場所を巡って、他の国の状況や、問題を見つける任務をカイルとタイロンに出したそうじゃ！」

　イカチ村の村長も驚いている様子だ。

　今までの生活を振り返ると、心配な気持ちになるのは当然だ。

　カイルとタイロンが無事との知らせを嬉しく思う反面、不安な気持ちを新たに抱いたダグラスとイカチ村の村長であった。