第23話 船に乗る

 クックの店を出ると、壁にお知らせが貼ってあった。


「こんなの貼ってたんだな。気づかなかったぜ。」


「何について書かれているのですか?」


「この度、魚料理のメニューを増やしたいと思っています。それに伴って、魚の仕入れ先を探しています。ご協力のほど、宜しくお願いいたします。 ……だって!」


 カイル達は、役に立てるかもしれないと、情報として一応覚えておくことにした。

 それと同時に、クックの料理に対する思いを感じた。


 3人は、話をする。


「それにしても、クックさん……やっぱり、凄い人だったんだね!」


「城の料理人達からの信頼もあったようですよ!」


「俺達も助けてもらったしな……」


 また会えることを願うカイル達。


「このまま船乗り場まで行って、船に乗りますか?」


「そうだな……」


「そうだね。とりあえず、行ってみようか。船の時間も気になるし!」


 船乗り場まで、歩くことになった。

 たどり着くと、時間を確認する。


 見てみると、あと5分ほどで船が来るみたいだ。

 丁度良い時間だった。

 船が来た。

 ゆっくりとした速度で近づいてくると、船乗り場に停止した。


 3人は船に乗り込むと、席についた。

 目的地は、ここから10分程で着く。

 そこまで、離れていない場所だ。


 他にも行き先はあったのだが、初めての航海ということもあって、最初は一番近い場所を選んだ。


 カイル達の他にも、お客さんが乗っているみたいだ。

 その様子を見て、改めて船が運航されて良かったと思う。


 そんなことを考えていると、あっという間に目的地にたどり着く。

 船着き場に着くと、お客さんが歩いて行った。


 3人も、後に続く。


「あっという間だったな!」


「もう少し、船旅を楽しみたかったですね……」


「そうだね……いずれは、自分達の船を手に入れて航海することが出来ればいいな!」


「大きな夢ですね……旅を続けていれば、叶うかもしれませんね!」


 話をしながら、町に入る。

 看板には、クロス町と書かれていた。


 町人がいたので、町のことについて聞いてみる。


「すみません……このクロス町は、どういった町なのですか?」


「十字路に沿って道があり、それぞれ別の場所に繋がっています。」


「そうなんですね……」


「こちらの船着き場。そして、直進すると他の町に続く道。横の道には、手入れされていない漁師達の船があります。そして、残りの場所はは山賊達のアジトです。」


「山賊?」


 皆が一斉に声に出す。


「えぇ、信じられませんよね……」


「最近、現れるようになったんです。私は、直接見たことは無いですけど、町の噂になってるんですよ!」


「では、他の町に続く道を通りましょう!」


 ミーナがすぐに提案する。


「そうだね。」 


「それしかないだろうな。」


「残念ですが、他の道に続く道は現在工事をしているんです。実は、山賊達によって荒らされてしまったのが原因でして……」


 町人の話を聞いた3人は信じられない気持ちでいっぱいだった。

 

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