第48話 騒がしさが嬉しいお昼

「私も何かお手伝いしましょうか?」

 紅茶を飲んで一息ついてすぐ、側でバタバタと掃除を続けるサクラ達。キッチンで洗い物をしているサクラに、ミツバが申し訳なさそうに聞いた

「ううん、大丈夫。ミツバちゃんは休んでて」

 ニコッと笑って答えるサクラ。だがミツバは、忙しそうに声を掛け合い片付けるナツメ達三人の方を見て、不安は募ってく

「サクラさんのお母さんが来るんですよね?そんなに片付けなくても……」

「お母さんより、家政婦さん達がとても厳しいの」

 と、たくさんの荷物を持ちながらナツメがミツバの話に入ってきた。掃除機をかけていたユリと拭き掃除をしていたツバキも手を止めて、ナツメの話に頷いている

「そうそう、片付けはちゃんとするって約束でサクラといるから」

「片付けるの面倒だから、さぼっちゃって……」

「本当、急に来ることなったら大変……」

「そうなんだ……」

 と、ミツバが話している姿を何だか楽しそうにサクラが見ている

「ミツバちゃん、お腹すいた?何か食べる?」

「ううん、大丈夫」

「じゃあ私が代わりに食べるよ」

 と、二人の話に割って入りながらビシッと手を上げたツバキ。それを見たサクラが少し呆れつつクスッと笑った

「ツバキちゃんは、朝ご飯もおやつもたくさん食べたでしょ?」

「でも、お昼ご飯の時間だし……」

 サクラの話を聞いて不満そうに壁に掛けている時計を見たツバキ。その時、ピンポンと家の呼び鈴が鳴り響いた

「あっ来たかも」

 そう言うとパタパタと玄関に向かっていくサクラと、大慌てで、掃除用具を片付けはじめたナツメ達。急にバタバタと騒がしくなって、ミツバがうろたえていると、玄関から話し声が聞こえてきた


「お母さん。いらっしゃい」

 玄関の扉を開けてすぐアルノを見て微笑むサクラ。同じくアルノもサクラを見てぎゅっと抱きしめた

「サクラ。機嫌はどう?」

「うん、まあまあかな」

 アルノの後ろにいる家政婦達がサクラにペコリとお辞儀をしていると、早々にサクラの家の中に入っていくアルノ。家政婦達も家の中に入って玄関の周り確認している


「良かった。全員いたのね」

 リビングに行くと、ソファーにいるミツバの周りに少し緊張した面持ちで集まっていたナツメ達。アルノがミツバを抱きしめている傍らでは、少し遅れてリビングに来た家政婦達が、リビングの中をキョロキョロと見渡している

「ミツバちゃん、機嫌はどう?ずっと寝ているって聞いてたけど」

「大丈夫です……ごめんなさい。心配かけて……」

 と、アルノとミツバが話しているとサクラもリビングにやって来て、狭く騒がしくなったリビングに、アルノのテンションが上がっていく

「みんな、お昼ご飯は食べたかしら?」

 ナツメ達に掃除の注意をしている家政婦達を呼びながら、ミツバとサクラにアルノが問いかけた

「いえ、まだです……」

「ちょうど、今から作ろうかなって話してて」

 と二人がアルノに答えていると、家政婦達がどこからともなく、たくさんの食材をテーブルの上に置いた

「じゃあ、みんな一緒にお昼ご飯を食べましょ。たくさん話もしなくちゃね」

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