「サクラとミツバちゃんは今頃、学校に行っているのかしら」

　サクラ達がご飯を食べているその頃、アルノも食堂で朝御飯を食べてながら、ふとサクラ達のことを思い出していた

「いえ、今日は二人ともお休みしているそうです」

　アルノから少し離れた所で食事の様子を見ていた家政婦が答えると、少し驚いた表情で家政婦の方を向いた

「あらそうなの？二人とも具合悪いの？」

「いえ、ミツバ様が起きないそうで、皆さんで様子を見るそうです」

「あら……それは心配ね」

　少し心配そうな表情でちぎったパンを食べるアルノを、何も言わずただ見守る家政婦達。その後は特に会話もなく、アルノの食事が進んでいく

「ご馳走さま。少し部屋にいるわ。その後で出掛けようと思うんだけど」

「お出掛けですか？」

「そう、サクラ達に会いにね」

　と話をしながらクスッと微笑むアルノ。食べ終えた食器を家政婦が片付けていると、もう一人の家政婦が隣に来て食後のコーヒーをアルノに渡した

「では、サクラ様に会いに行くと、こちらから後程連絡しますか？」

「お願いしてもいい？ミツバちゃんも、なるべく起きるようにしてもらって」

「はい。伝えておきます」

　話をしながらコーヒーを飲み終えたアルノが、家政婦にニコッと微笑み食堂を出ていった。お辞儀をして見送る家政婦達。アルノが部屋へと入り姿が見えなくなると、パタパタと忙しそうに片付けをはじめた

「えっ？お母さんが……」

　朝御飯を食べ終えて、少しのんびりしていたナツメ達。キッチンで少し困ったように電話をしているサクラを聞き耳をたてて見ている

「はい……。分かりました……」

　話終えたのか電話を切ると、はぁ。と深いため息をつきながら、リビングに戻ってくると、勢いつけてソファーに座った

「サクラ。どうしたの？」

　恐る恐る電話の内容を聞くユリ。心配そうなユリの顔を見て、少し困ったように苦笑いで答えた

「お母さんが後で来るって」

「ここに？」

「うん、私達の様子を見るって。それまでに、ミツバちゃん起きてくれるといいけど……」

　お茶を飲んで少し気持ちを落ち着かせながら、ミツバがいる部屋の方を見た。まだ起きている雰囲気のない部屋を見て、また一つ大きなため息をついた

「アルノさん来るなら、掃除しなきゃね」

　ツバキがお菓子を食べながらそう言うと、慌てて家の中を見渡すサクラ。あちらこちらリビングやキッチン等が少し散らかっている事に気づいて、またちょっと困ったように苦笑いをした

「そうだね、ちょっと散らかってるからね。家政婦さん達に怒られちゃうから、急いで掃除しようか」