俺達の高校

第4話 高校と後輩(編集)

俺、山彦康太は所謂、人見知り+自分を卑下する+相手と喋るのが困難。

この事で俺は同級生から究極に変な奴と思われている。

因みに過去もそうだった。


過去も.....女ばっかりにイジメられたせいで女恐怖症になってしまった。

弱すぎるとは思うが.....どうしようも無かったんだ。


どれだけ人見知りかというとリアルで全く友達が出来ない。

自分を卑下するというのは簡単にいえば俺自身に自信が持てないからだと思う。

相手と喋るのが困難なのは俺自身が発達障害を抱えていて全てのサポート、会話が下手だから、だ。


まあこのままでは彼女も何も出来ないだろうけど仕方が無いと思っている。

だが.....昨日を境にそれは変わった。

何がどう変わったかというと。


女性恐怖症だったのだが女性への見方が変わったのだ。

俺がオンラインネットゲームのユウキいう少年の中の人と会ってから、だ。

ユウキという少年は実は女の子だった。


そしてその女の子はこの様に話したのだ。

俺に対して.....自信を持ちなさい。

貴方は.....自分が思っている以上に活躍出来るわ。

と、だ。


これまでの俺はかなり馬鹿にされて.....クラスで浮いていた。

発達障害の名称、自閉症スペクトラム障害で、だ。

それらもあったせいで俺は自らが嫌いになって.....ただ本当に引き籠ってしまいオンラインネットゲームに没頭した。


だけど.....一歩を踏み出しても良いんじゃないかって思ったのだ。

あの人以来かも知れない。

こんな事を思えるのは、だ。

ユウキと出会って本当に良かった。

自信が持てたのだ。



「.....ふあ.....」


しかし眠い。

昨日の前の日に楽しみで寝不足になったせいだろうとは思うけど。

俺は昨日のユウキと出会って買い物をした楽しかった事を考えながら登校していた。

ゆっくり歩いて俺の通っている高校、県立永谷城高校に向かう。

それから門が見えてきた。


「.....もう直ぐあるテストも頑張らないとな」


その様に新しく決意しながら歩く。

そしてふと周りを見る。

通り掛かったリア充のクラスメイトが俺を見てクスクスと小馬鹿にしている。


慣れたけど、やっぱりかなり耳障りで煩かったりする。

思いながら俺はその声に目線だけで伺う。

そんな行動をしていると。

横から声がした。


「おはよう。山彦君」


「え?.....え!?」


「私がおはようって言ってるのに何かしらその反応は。ちゃんと挨拶しなさい」


「.....あ。えっとおはよう。ユウキ」


「コラコラ。.....私は秋田よ?.....約束を忘れたのかしら。駄目駄目」


俺はハッとして秋田を見る。

しまった、と思いながら、だ。

頬を膨らませて俺に説教してくる秋田に頭を下げながら.....全身を見る。

制服姿の秋田は何だか新鮮な感じがするな。

何時も見ていたのに、だ。


しかしそうだったな、今は秋田。

つまり.....ユウキでは無いしユウキと呼んだら学校だし怒る。

当たり前の事だ。

その事で俺に苦笑する秋田。


「まあ良いわ。.....貴方、結構早めに登校するのね」


「.....そうだな。今日は何となく早めに出た。外の空気を吸いたかったしな」


「そうなのね。.....まあ人には色々あるしね


「.....秋田は.....珍しいな。この時間なのか何時も」


「この時間に登校したら貴方に会えるかと思ったのよ。だから今の時間なのよ」


俺は思いっきり見開く。

それから.....そんな事をしたらお前.....嫌な思いをするんじゃ、と声を発して慌てる。

だってそうだ。


学校でボッチで根暗な人間と付き合ったら普通に考えたら.....俺なら嫌だから。

あり得ない行動だ。

思いながら秋田を見つめる。

秋田は、何を言っているのかしら?、と俺を目を丸くして見てくる。


「貴方と一緒で私は別に支障は無いわよ」


「.....え?」


「.....逆に貴方と一緒で何が問題なのか分からないわ」


「.....!」


俺は驚愕して秋田を見る。

秋田は、それに、と言葉を発した。

私は今からでも貴方と友達になる義務が有るわ、とも話す。

俺は更に目をパチクリする。

まさか.....昨日の事を?


「.....私は貴方の様な独りぼっちを置いておく訳にはいかないわ。自らの正義において許せなわよ。そういうの」


「.....お前.....」


「私は貴方とお友達になるから。何をどう言われようが」


「昔から居たら良かったよ。お前が.....」


「貴方は.....あまり巡り合えなかったのかしら。良い人に」


そうだな、と回答する俺。

そもそも良い人が居るなんてあり得ない。

家族以外での親父以外は、だ。


これまで会って来たのは.....女子からのイジメだ。

とにかく絶望しかない感じだが。

思いながら前を複雑な顔で見つめる。

そうしていると。


「そうね。だったら私は貴方をきちんと支えれる様な人間になりたいわ」


「.....え?」


「貴方が巡り合わなかった分。私が貴方の全てを支えてあげるわよ」


「.....いや。お前にそんな重荷は.....背負わせる訳には」


「私がやるって言っているのよ。ね?カズキ」


その言葉に俺は静かに見開く。

そして.....唇を噛んだ。

涙を堪えながら.....秋田を見る。

秋田は柔和な顔で何時ものクール顔を崩さない様にして俺を見てくる。

そんな感じで.....昇降口に来た。


「有難うな。秋田。本当に」


「.....私は当然の事をしているまでよ」


「.....でもそれでも俺にとってはな。嬉しいよ」


「.....そうね。だから貴方も頑張って。私も頑張るから」


そんな感じで会話しながら俺達は下駄箱で靴を履き替えていると、もしかして、と背後から声がした。

俺は、ん?、と思い背後を見る。

そこに女の子が立っていた。


黒髪にツインテールの童顔の可愛らしい女の子が、だ。

正確に言うと俺に大きなクリッとした目を輝かせていた。

俺達より身長が低く、まるで中学生になりたての小学生の様だ。

それから.....柔らかそうな唇に白のキャンバスの様な肌。

とても可愛らしいが.....ん?


「.....先輩。お久しぶりですね」


「.....お前、もしかして山口じゃないか?」


「はい。山口です。山口香織(やまぐちかおり)ですよ」


「.....久しぶりって言っても俺とはあまり話をした事無いだろ。俺も記憶が曖昧なんだが.....」


「はい。でも.....私は先輩の優しさを知っています。だから.....ついつい声を掛けたくなったんです」


それにしても先輩、この学校に通っていたんですね。

私、この学校に入学して来ましたけど.....分かりませんでした、と笑顔でニコニコしてくる山口。


俺は目を見開きながらそんな山口を見る。

すると山口は横に居る秋田を見た。

それから?を浮かべる様な仕草をする。


「.....こちらの方は.....どちら様ですか?」


「あ?ああ。秋田菜穂っていう女の子だ。俺のクラスメイトだよ」


「初めまして」


そんな感じで律儀に頭を下げる秋田。

その姿を見てから顎に手を添えて少しだけ首を傾げる山口。

俺はその姿に同じ様に首を傾げながら山口を見る。

どうしたのだ?


「.....お二人はその.....付き合っているんですか?」


「.....は?.....いや、違うが」


いや、いきなり何を言ってんだ。

付き合ってないんだが、と思いながら少しだけ赤面で山口を見る。

それから、付き合うとかはしてない、と答える。

山口は、ふーん.....、と少しだけ警戒しつつも俺に再び笑顔を見せてきた。

それからこの様に話す。


「.....分かりました。じゃあ先輩、また後で」


「.....あ、ああ。.....え?また後で?」


そして山口はニコッとして、はい、と言い。

そのまま手を振ってチョコチョコと速足で去って行った。

俺はその姿を見ながら?を浮かべる。

そして秋田を見た。


「面白い子ね。山口さん。好きなの?」


「.....いや、お前まで。違うって」


「そうかしら?お似合いだと思うけど」


「.....いやいや。山口とはあまり話した事無いぞ。俺」


あら?そうなの。

と、クスクス笑う秋田。

俺は苦笑いで秋田を見ながら.....溜息を吐いた。

それから.....山口の去った方向を見る。

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