出郷

左手にナイフを 右手にサイダーを持って

教会の裏で見かけた 猫に餌をやったら

いつも通りの小屋まで 走って君へと追いかけていく

仕舞ったナイフが擦れて 左足が痛む


君と遊んでいたいだけ 痛いだけ

僕だってこんなの ダメだって分かってる

君はどう壊そうかだなんて考え

右手のサイダーを飲むんだ


左手にナイフを 右手には何も持ってない

教会の裏で愛した 猫に墓をやったんだよ

いつも通りの小屋まで 走って君をも追い越していく

仕舞ったナイフが飛び出て

あとは何も覚えていない


そうだな

そーだなあ、僕はどーやら

ずっとずっと前からおかしかったな。

僕はね、右利き、だからみんなと同じ人間だなんて思って

けど!世界がおかしいんじゃなくて、くっっそ、僕と君がおかしかったの

僕と君は獣だ

僕と君はけものだ

ぼくときみわけものだ

あーーー僕はだいっっきらいだ!!


またね


僕と君とで必要な距離が

今 僕は分かったような気がした

主治医のお金と髪の毛を持って

僕はこの街を出る。

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