第14話 ポークチャップ

 基本的に手の込んだ物は作らない。いや、独身時代とかは気合いを入れて、時間と手間のかかる料理とか作ったこともあったけれど、毎日となるとそうも言ってはいられない。できるだけ手早く簡単にできるもの、または、材料があるものになる。妻の小麦アレルギーが判明してからは、さらに幅が狭まっているが、そこを工夫するのもまたたのしい。


 そして今日は、買い物に行かなかったので材料が乏しい。豚の切り落とし肉とタマネギ、キャベツか。冷凍してある茸とか野菜はあるけど……。結局、一番簡単なポークチャップを作ることにした。


 ポークチャップは、ポークチョップが日本に入って変化したものと言われている。チョップの方は骨付きロース肉でガッツリ系だけど、チャップはなんだか軽い感じ。それはともかく、まずタマネギから切っていく。いつものように細切りにして、ボウルに入れて放置。タマネギは、放置することで辛み成分(硫化アリル)が飛んで、甘みが増す……らしい。キャベツは付け合わせに、千切りにしておく。

 豚肉には、塩胡椒で下味を付け、軽く片栗粉をまぶしておく。片栗粉を付けた方が、肉汁が閉じ込められるしソースの絡みも良い。付けすぎると悲惨だけど。


 フライパンを火に掛けて、温まったら油をひく。油が全体に行き渡るよう、ぐるっとフライパンを動かす。焦げ付きにくい加工をしてあっても、油を使った方が長持ちするらしい。

 油が十分に熱せられたら、豚肉を投入! ジュウジュウと良い音を立てて、肉が焼けていく。洋食屋さんで出るポークチャップはロース肉だけど、家庭料理ならなんでもいいよね。わざわざ高い肉を買ってくることもない。豚肉は、火が通ったところで一旦皿に移しておく。

 同じフライパンに、油を敷き直して、今度はタマネギを焼く。量は……一個分じゃ多いから、半分でいいか。菜箸でかき回しながら焼いていくと、細切りにしたタマネギが透明になっていく。うん、頃合いかな。では、火を弱くして、ケチャップを投入しよう。ジュワジュワとケチャップが音を立てる。ケチャップだけでもいいけど、ウスターソースをほんの少し入れた方が私は好きだ。そういえば、欧米から伝わったから洋食のイメージが強いけど、ケチャップって元々中国発祥らしいね。すごいね、ぐるっと地球を廻って伝来してくるなんて。


タマネギとソースを絡めながら、少し煮詰まった頃合いを見計らって、さっき皿に移した豚肉をフライパンに戻す。ソースと肉をさっと絡めて火を止める。簡単に言ってしまえば、タマネギと肉を炒めてケチャップを合わせただけの簡単料理だけど、なかなかどうして、これが美味い。

キャベツの千切りを載せた皿に、できあがったポークチャップを移す。うーん、良い匂い。チキンライスとかもそうだけど、ケチャップには抵抗しがたい魅力があるよね。


「ほい、できたよー」

「わーい」


 おかずが洋風なので、味噌汁じゃなくてオニオンスープにしてみました。タマネギは焼かずに煮ただけだけども。


「いただきます」

「いただきます」


 うん、美味しい。

 さて、明日は何を作るか。おっと、買い物に行かないと、何もないな。

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