謎の言葉を残していくおじさん

僕のよく行く商店街には謎のおじさんがいる。

僕がアイスクリームを買って食べていると、

「お前もいつかアイスクリームになるんだよ」

とつぶやいて去っていく。

僕が犬の散歩をしていると、

「その犬がやがて世界を救うことになることを、お前はまだ知らない」

とつぶやいて去っていく。

僕が立ち食い蕎麦を食べていると、

「その蕎麦を二階の高さから落とされても、果たしてお前は食べられるのかな」

とつぶやいて去っていく。


ある日、その謎のおじさんが交通事故に遭った。

「大丈夫ですか!?」

僕が駆け寄ると、おじさんは言った。

「お前は私の生まれ変わりなんだ。お前は私なのだ!思い出すんだ、ジュン!」

そして、血を吐いて逝ってしまった。

最期までよくわからない謎のおじさんだった。

ただ、なぜか、このおじさんの姿は強烈なインパクトを伴って今も僕の心の中に存在感を残している。

ちなみに、僕の名前はジュンではない。

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