第12話 瑞希の考えた潜伏先とは…
2人が世闇に紛れて隠れながら歩いて移動をした先は高校の裏手から少し離れたところにある神社だった。
「ここなの?」
「うん、そのはずだよ」
凛華はそう言って昼に偶々気になって鑑定をした結果を伝えた。
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ダンジョンゲート(未)
残り3時間54分
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これを確認してしまったときに瑞希は驚いてしまったが、急いでいたので特に凛華に言及することもせずにそのまま移動してしまった。
この神社は行事があるときは人が来るけれども、それ以外の時はそこまで頻繁に人が来るという場所ではないうえに、入口も神社の裏手にあるので直ぐにバレそうな場所ではなかったので潜伏場所として有用そうだと思い、ここに瑞希は凛華と2人で騒動がおさまるまで潜伏をしようと考えたのだ。
また、ギフトのスキル承継を行うことで、もしかしたら有用なスキルも身に着けられるのではないかと瑞希は考えており、しばらく過ごすための準備を凛華と進めたのだ。
「それにしてもダンジョンに潜伏しようなんて案が瑞希の口から出るとは思わなかったよ」
「うん、私もこんなことがなければダンジョンに潜ろうとは思わなかったよ…? だけど今からどこかに行っても、もし人目に付けば関わるなって言った委員会の人が来るかも知れないし、記者の人に見つかればきっと色々悪意を持った記事を書かれそうだから…。それならもうちょうどよく新しくできる見つかっていないダンジョンに隠れちゃえば見つからないなって思って」
「確かにそうだね。けど、情報がないから難易度もわからないし、どんなギミックがあるのか、どんなモンスターが出て来るかもわからないんだし気をつけようね」
「うん、わかってる」
瑞希と凛華は新しくできているダンジョンの入口の周辺に人影がないかを確認し、鑑定をして入口と記されたものに近づいた。
「それにしてもこのお地蔵さんに触るのか…」
「うん…、でも、鑑定をして入口はこれだって…」
2人はダンジョンの入口となっているお地蔵さんをまじまじと見つめた。鑑定をして入口と鑑定結果が出たのは、なんとお地蔵さんだったのだ。ダンジョンはどこかに穴や建物、洞窟からできているものが多いが、今回のお地蔵さんのように特定のものに触れることでダンジョンに飛ばされるというものもあるのだ。
そうしたダンジョンは階層こそ少ないが、難易度が高かったり、特殊なギミックがあったりと、一筋縄ではいかないものが多い。しかし、それに見合うかのように宝箱の中身が貴重だったり、モンスターからのドロップ品も稀少なものが多かったりするので見返りも大きいのだ。
「…、うん、じゃあ、触るよ」
「うん…!」
2人で掛け声をしてお地蔵さんの頭に触ると2人はクラっとするような不思議な浮遊感と共に視界が真っ暗になり、気がついたら満月が出ている不思議な夜の空間にいた。
あたりを見渡してみると、地面はぬかるんでいるところが多く、苔むした土の床となっており、不気味な枯れ木が多く乱立していた。また地面のいたるところから十字の墓が生えており、ホラーテイストで溢れたダンジョンだった。
「うわ~…」
「凛ちゃん大丈夫…?」
「う、うん、一応ね」
「それならよかった…、けど…」
2人は言葉少なく互いにこのホラーテイストに大丈夫か確認しあった。互いにホラーが苦手ではないのだが、もしこの場所がダメであれば別の潜伏場所も考えないといけないので念のため確認したのだ。
「うん、いいたいことはわかる」
「だよね」
「こんなところにしばらく潜むなんて嫌だよ? そりゃあゾンビが沸いて腐臭がしているとか、そういうわけじゃないからいいけど、ずっとここにいたら気が滅入りそうだよ」
「う~ん、どうしよっか…」
「とりあえず探索をしてみてマシな場所があればそこにテントでも立ててそこをキャンプ地にしようか。ここは通路があるわけじゃないから多分迷宮型じゃなくてオープンフィールド型でギミックを解いたら次の階層に進むタイプのものだと思うから」
「わかった、じゃあ、行こうか。はい、これ」
瑞希は無限収納の中から凛華の刀を取り出して渡した。荷物のほとんどを無限収納の中に入れて移動をしておける分2人は身軽にダンジョン探索を行えるのでその点はこのスキルがあってよかったと思っていた。
凛華は刀を受け取ると腰に下げて辺りを見渡しながら何かこの階層のギミックとなっているようなものはないか探索を始めた。
瑞希は凛華を見ながら口ではああいっているものの、やはりこうした探検を楽しく感じているのではないかと思い、一緒にダンジョンに潜れて少しは良かったのかなと思っていた。
(私も凛ちゃんに習って周囲の探索を進めようかな)
瑞希も周囲の探索を始めた。この場所は視界を遮るものも少ないので、互いを視認できる距離を保ちながら辺りを見渡すが、見える景色の変化は乏しかった。
「どこから探そうか?」
「う~ん…、こういう時は真ん中に何かあるか、入口の反対側に何かあるパターンが多いと思うからとりあえず真ん中の方を目指しながら四角のどこかを目指そうか。ここがどのあたりかわからないからとりあえずひたすら真っすぐと歩けば端っこに出られるよ」
凛華の提案を聞いて瑞希は地図も作れないのだからそうするしかあるまいと思い、その提案を受け入れてとりあえず今いる地点から真っすぐに歩くことにした。そして、念のためと思い、今いる地点に目印になるかわからないが、適当に穴を掘って山を作って目印を残して、歩幅で距離を一定にしつつ歩きながら端に向かう地図を作り始めた。
2人が歩き始めてまもなく、地面から変な声が聞こえてきた。
「何この声…?」
「お約束のアレじゃないかな?」
凛華はそう言うと刀を抜いて声がする方に狙いを定めていると、地面から手が生えてきた。
「うおぉァアア…、ウ~、ヴ~…」
「ひっ…」
「見るからに腐った死体? ゾンビ? みたいなやつが出てきたね」
瑞希は小さな悲鳴を上げ、凛華は冷静に出てきたものを観察していた。身長は160センチぐらいの人型で、生気のない人の顔をしており、目の奥が真っ暗だった。また、爪からは何か紫色の液体が滴っているので爪に触れるのも気を付けたほうがよさそうだった。
「瑞希、鑑定よろしく」
「うん、わかった」
「とりあえず、動きはそんなに早くないみたいだし、まずは様子見で攻撃はしないでおくね。というか、あれを刀で斬りたくないっていうのが本音かな」
凛華は斬りたくないというのを心底嫌そうに言うと、とりあえず武器を構えないのは棄権なので刀の刃先はモンスターに向けてはいるものの攻撃を仕掛ける様子はなかった。
「鑑定!」
――――――――――
ゾンビ
Lv.8
体力 52
魔力 56
気力 58
物理攻撃力 41
魔法攻撃力 32
物理防御力 43
魔法防御力 29
器用さ 37
素早さ 30
幸運 29
〈スキル〉
〈毒爪〉Lv.2 〈物理攻撃耐性〉Lv.1 〈光弱点〉Lv.1
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「名前はゾンビであってるみたい! 光属性が弱点で物理攻撃に耐性があるよ。レベルは8でステータスもゴブリンたちより上だから前のところより強いモンスターかもしれないから気を付けて…!」
「了解!」
瑞希が鑑定の結果を伝えると、凛華は刀を収めてちょうど前回のダンジョンの銀の宝箱で得た〈光魔法〉を試す機会が来たいうことで凛華は魔法を放った。
「ライトボール!」
凛華の手元から放たれた光の弾はゾンビの体に命中し、ゾンビはその一撃で体をフラフラとさせ、倒れそうになっていた。そして、その隙を見逃すことなく瑞希がマナボールを当ててゾンビは倒された。
「あれ? 思ったよりも弱い?」
「魔法攻撃に弱いみたいだったし、凛ちゃんの光属性魔法は弱点でもあったからかなり効いたんじゃないかな? もう少しレベルが上がって魔法攻撃力が上がれば凛ちゃんの魔法でも一撃だと思うよ」
「そっか~、じゃあ、レベルアップ目指して頑張らないとね!」
凛華はそう言ってゾンビのドロップ品である魔石と一緒に落ちていた草を拾い上げた。草については瑞希が鑑定をしたところ『解毒草』と書いており、これを材料にして解毒薬が作れるという情報だけ手に入った。
『解毒薬』や『回復薬』といったアイテムも見つかってはいるが、未だにその製法は明らかになっていないのが現状であるので、すぐには役に立たないかもしれないがいつか製法が見つかれば役に立つだろうということでゾンビを積極的に倒すのもいいかもしれないと瑞希は思っていた。
それから何度もゾンビと戦っているうちに、このエリアの四角の内の1つにたどり着くことができた。
「多分これは中央に向かっている方向じゃなかったかも…。距離も近いし、この距離でスタート地点を中心としたらかなり狭いと思うんだよね…」
「なるほどね。それじゃあ、ここをまたスタートと考えて四角を巡っていこうか」
凛華は瑞希が申し訳なさそうにしているので、それぐらいなんでもないというように明るく言い放った。また、それならこのエリアの完全な地図を作ってしまおうという提案さえしてくれたので瑞希はそれをありがたく感じた。
瑞希と凛華はそれから他の隅を目指して歩いた。道中では、ゾンビだけではなく、烏、コウモリ、スケルトンが彼女たちの前に現れた。
烏は何か意味ありげな囲まれた墓を中心として周囲を3~5匹で旋回をしており、彼らの縄張りに近づくと襲ってきた。
もちろん好奇心旺盛である凛華は意味ありげだと感じたので、辺りを念入りに探索したが何も出て来ることはなかったので残念そうにし、烏に八つ当たりをしていた。
コウモリは枯れ木が多い場所で急に現れて襲ってきた。奇襲による攻撃は危なかったが、それ以上の脅威はなく、彼女たちは以前のダンジョンにいたコウモリと同じ湯に対処をした。
そして、スケルトンが出てきたときは少し苦戦をさせられてしまった。彼らはゾンビと同じように特定の場所に出て来るというわけではなく、歩いているとゾンビと同じように地面から急に湧いてくるのだ。
そして、彼らはそれぞれ何かしらの『壊れかけの』という名の付いた武器を所有しており、その武器に当たると〈出血量増加〉のスキルが付与されているので攻撃に当たるわけにいかなかったのだ。
そんな中でそのスキルの付与された弓を用いて矢も放ってくるものだから、すべてを回避しきることは難しく、凛華の肩や足、瑞希も腕を掠めたりしてかなりの出血をさせられてしまった。
「ヒール!」
凛華はスケルトンとの戦闘を終えて、かなりの出血をしてしまった自分と瑞希に対して回復魔法をかけた。失った血は直ぐに回復することはなかったが傷は塞がって、失った体力が少し回復していた。状態には貧血というバッドステータスが付与されて体力の回復制限がかかっていた。
「ありがとう、凛ちゃん。少し楽になった気がする」
「どういたしまして。少しでも楽になったならよかったよ。それにしてもスケルトンってあんなに厄介なんだね」
「そうみたいだね…。ただの骨しかないのに攻撃力が高いし、肉がないから攻撃も当て難いし、できればあんまり戦いたくないな」
「私もだよ…、でも、とりあえず四角は巡れたし、これでこのエリアがどういう構成かだいたいわかったね」
「まぁね。でもちょっと休憩しようか。歩き続けて疲れたし、瑞希のスキルも使わないといけないし!」
2人はその場に座り込み、瑞希の無限収納に預けてあるおにぎりを取り出して食べながらどの魔石・ドロップ品からスキルの承継を行うか話し合った。
※以下は道中に現れたモンスターのステータス
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烏
Lv.9
体力 32
魔力 38
気力 39
物理攻撃力 48
魔法攻撃力 41
物理防御力 47
魔法防御力 42
器用さ 42
素早さ 50
幸運 35
〈奇襲〉Lv.2 〈盗む〉Lv.1
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コウモリ
Lv.7
体力 45
魔力 51
気力 38
物理攻撃力 35
魔法攻撃力 32
物理防御力 31
魔法防御力 31
器用さ 32
素早さ 35
幸運 30
〈吸血〉Lv.1 〈超音波〉Lv.1
――――――――――
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スケルトン
Lv.10
体力 57
魔力 33
気力 56
物理攻撃力 42
魔法攻撃力 28
物理防御力 42
魔法防御力 44
器用さ 43
素早さ 43
幸運 35
〈武器〉Lv.2 ※剣や槍・弓など 〈物理攻撃耐性〉Lv.2 〈骨強化〉Lv.1
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