第9話 真白の策略により巫子の部屋で巫子の恥ずかしい秘密を知ってしまいました

「お邪魔しまーす」

「はーい。文人さんいらっしゃいませー♪」

 荷物の整理が終わり昼食を食べた後、僕たちは同棲のための荷物を取りに巫子が住んでいるマンションの部屋にやってきた。


「それでは今から準備をするので、文人さんはここで待っていてください」

「うん」

 巫子はお茶を淹れて僕をもてなしてから、僕をリビングに残し隣の部屋に入っていく。


 ここにくるまでの間に話し合い、女の子の荷物にはデリケートな物が多いということで、荷物の準備は全て巫子がやり僕は運ぶだけということになった。


「ここが巫子の部屋かあ。何か緊張するな……」

 初めて入る巫子の部屋に、落ち着かない僕は部屋の中を見回す。


 真白の部屋とはまるで正反対の、白やピンクを基調としたかわいらしい家具や雑貨で彩られている女の子らしい部屋。


 さらに部屋の中にほんのりと香るいい匂い。

 芳香剤のようなものは見当たらず、僕はこれが巫子の匂いで巫子がここで生活しているんだと意識してドキドキした。


 ピロン♪


「ん?」

 するとメッセージアプリの着信音が鳴り、誰かからメッセージが届く。


「真白だ。何だろう?」

 差出人は真白で、僕はアプリを開きメッセージを確認した。


◆◆◆


社長命令


巫子の部屋のタンスの下から2番目の引き出しを開いて、

中にある物の写真を撮って私に送りなさい。


もし命令に逆らったら文人の就職の話は無しになるから、

そこのところよろしく♪


◆◆◆


「まーたパワハラだよ……」

 僕は呆れながらメッセージアプリを閉じる。


 昨日と今日の言動から、真白が何を考えているのかは大方予想がつく。


「どうせ、そこに巫子の下着が入ってて僕をビックリさせるつもりなんだろ?」


 とは言うものの就職の話が無しになるのは困るので、僕は仕方なく命令に従い巫子のタンスの引き出しに手をかける。


「まあ社長命令で合法的に彼女の家のタンスを漁れるなら、彼氏としてそれはそれで……ぶふぉっ!?」


 引き出しを開けた瞬間、僕は思わず吹き出してしまった。

 そこにあったのは、ハンディタイプのコードレス電動マッサージ機。


「こ、これってつまり……」

 真白がメッセージを送ってきた意図を考えた僕の頭にある想像が浮かぶ。


 い、いや、まだ分からない。

 巫子は巨乳だし、純粋に肩が凝って本来の用途で使っている可能性も……。


「お待たせしました♪ ……って、きゃああああっ!? ふ、文人さん!? 何をやってるんですか!?」

 すると隣の部屋から巫子が戻ってきて、呆然と電動マッサージ機を見つめている僕を見て悲鳴を上げた。


「あの、これは違うんです! 私の誕生日に真白さんが悪ふざけでプレゼントしてきたもので……」

 そして巫子は盛大に取り乱しながら言い訳するように僕に説明する。


 巫子、その反応は本来の使い方をしてないと言ってるようなものだよ?

 そんな巫子を見て、僕の中の悪戯心が疼いた。


「あれえ? 巫子、どうしてそんなに慌ててるのかなあ? ただのマッサージ器具なのに? もしかして普通とは違う使い方をしてるのかなあ?」


「そ、それは……」

 僕がニヤニヤしながら追及すると、巫子が「しまった!」という顔をして言葉を詰まらせる。


「正直に言ったら、僕が方法で使ってあげるよ?」


「っ!」

 このままだと巫子を虐めるだけになってしまうので、僕は巫子の耳元で甘い誘惑の言葉を囁いた。


「は、はい。その……どうしても我慢できない時に、イケナイことをするために……使ってました」

 すると誤魔化しきれないと思ったのか、巫子は観念するように白状した。


「そっか、でも巫子も人間だし、そういう気分になる時もあるよね?」

「はうう……」

 僕は恥ずかしそうに俯く巫子の頭をポンポンする。


 巫子って本当にかわいいなあ。

 困った顔までかわいいなんて、もっと意地悪したくなっちゃうじゃないか。


「ちなみにどのくらいの頻度で使ってたの?」

「そ、そんなに頻繁じゃないです。週に1回とか……」


「ふうん?」

 巫子はそう言うものの見た感じ結構使い込まれてるし、女の子はこういう質問に少なめに答えるらしいから多分嘘だろう。


 本当のことを知りたいと思った僕はあることを思いついた。


「じゃあさ、昨日の夜みたいにイチャイチャするの週1回にしようか?」

「え……」

 僕の提案に巫子がキョトンとする。


「僕はもっと多くてもいいけど、巫子がその気じゃないのにするのは悪いし」

「え、えっと……」

 僕の揺さぶりに巫子があからさまに動揺する。


「ご、ごめんなさい! さっきのは嘘です! 本当はもうちょっと多いです!」

「あ、やっぱり? 本当はどれくらい? 恥ずかしいとは思うけど恋人として大事なことだし、答え次第で僕の対応も変わるからできれば答えてほしいな」


「週に……5回です」

「ご、5回!?」

 そして懺悔するように告げられた事実に僕は驚愕した。


【速報】巫子、ドスケベであることが判明!


「や、やっぱり変ですよね? その……引いちゃいました?」

「そ、そんなことないよ! ちょっと驚いただけで、巫子が望むなら彼氏として応えてあげたいと思ってるよ!」


 不安そうな顔をする巫子を見て、僕は慌ててフォローする。

 むしろ巫子みたいな上品な子が実はエッチだったとか最高じゃないか!


 とは言うものの週5回か……。

 昨日はかなり激しかったし、正直僕の体力がもつ自信がない。


 ま、まあ巫子はとても魅力的な女性だし、休息と栄養をしっかり取れば大丈夫だろう……多分。


「うう、どうしてこんなことに……そもそも何で文人さんが私の部屋のタンスの引き出しを勝手に開けてるんですか……」


「ご、ごめん。真白に開けろって命令されたから……」

 すると巫子が涙目になりながら抗議してきて、僕はやり過ぎたと思い謝りながら真白からのメッセージを見せる。


「ほ、本当だ。真白さん、勘弁してくださいよ……。もう私、お嫁に行けません……」

 メッセージを見た巫子はガックリと肩を落としてため息を吐く。


 こうして僕と巫子は交際2日目にして、お互いの性癖を知る変態カップルとなったのだった。

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