GZ・BWR

御鏡 鏡

序章

プロローグ

 直後、アラワシが機動した。


 アラワシは、一本の細く長い大剣を持っている。


 大太刀で、あった。


 大太刀で、あるためさやは存在しない。


 次の瞬間、アラワシの姿が描き消えたのである。



「大丈夫だ」と、クララに声をかけながら、背中に高射砲を半分に折り畳んだものを背中に固定し、太刀を持って出入り口まで進んでいく。



“誰かに、見られている?”


 一瞬だが、そんな視線を感じた。



 その前に、すでに二機はあっけなく、地に倒れ不伏ふした状態であった。


 魔業機E級(Eクラスマジックマシン)に、魔動機A級(Aクラスマジックモーティブ)が負けたのである。


 不意討をかけようとして、不意討ふいうちを逆にくらったのである。


 出入り口まで、とりあえず進行する。


 入口の辺りで、すでに左側に居た魔動機がバラッバラにくだかれていた。


 各関節が、断ち切られていたのである。


 右も、同様にヤラレていたのだ。


 高速戦闘の速さも、さることながら。


 アスカ嬢の判断は、早かったともいえる。


 最後の一機も、最早風前もはやふうぜん灯火ともしびである。


 武器は、砕かれ足元に転がり、無様に接近戦用のナイフを構えている状態である。


 とはいえ、かすれば、魔業機ではひとたまりもない……。


 砕かれていた武器は、フレームスプレーランチャーに見えた、丸ごと焼き尽くすつもり、だったのであろう。



 さっき倒れていた奴らの得物は、三叉鉾さんさほこの長いものであった。



 最後の一機は背中に、リキッドをぼたぼた垂らしている。


 ドラム缶というか、リキッドの満たされた爆薬の様なものを背負せおっていたのだ。



「!」と即、高速戦闘を意識し、側壁そくへきけ上がる。


 危険だと判断した、のだ! 


 ドーム型シティーの、外延部がいえんぶ高さ五十メートルの幅十メートル程しか無い外壁の上部まで、一気に駆け上がったのである。


 そのまま、脈動みゃくどう上昇点じょうしょうてん二分身にぶんしんし、背中の爆薬ばくやくモドキを切り捨て、分身体で蹴上けりあげたのだ。



 背後、側方から切り付けたが、鮮やかに切り捨てたので本体には影響はなかったハズだ。


 そのまま、落ちた先でリキッドに火花がまわって、誘爆ゆうばくし、すさまじい轟音ごうおんが出た。



“ズドーン!! バガーン!!”



 と、さらなる轟音ごうおんひびいて豪勢ごうせい黒煙こくえんが立ちのぼったが、ドーム外周外側の無人区画むじんくかくであったためヒトに被害ひがいは出なかったのである。



 さらに、背面から垂直にコクピットの上あたりを、頭を後ろからカチ割り。


 コクピット手前まで、寸止すんどめし、降伏勧告こうふくかんこくを行ったのである。


 明らかな、越権行為えっけんこうい権利侵害けんりしんがい、他国の公爵令嬢こうしゃくれいじょうに対する暴挙ぼうきょ、といとまなく読み上げる。



 グランシスディアラインの隊長機から、得物のダガーが落ちたのであった。


 正面にも、大太刀を構えいつでも、振り下ろせる体制のアラワシが居る。


 事件は、終わったのだ。


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