今作は、サッカーで世界一になるという夢を持つ幼馴染に、恋心を抱く女の子のお話です。
サッカーで才能を開花させた翼は、その名の通り、世界に羽ばたいていきます。
幼馴染として彼と日常を共にしてきた『私』は、広い世界へ飛び出して行く翼に忘れられてしまうかもしれないという恐怖に襲われ、彼と距離を置いてしまいます。
翼に対する恋心、彼が遠い存在になっていく寂しさが真っ直ぐな文体で綴られ、読み進める度に切なさが増します。
私の幼馴染だった人が、私だけのものではなく、世界のスターになってしまう――『私』の寂しくてつらい気持ちが伝わってきます。
積み重なったこの切なさは、物語終盤で一気に昇華し、感動へと変わっていきます。
読み終わったあとの清々しさは言葉になりません。
瑞々しい恋心が描かれた作品です。
ぜひご一読下さい。