第14話:入金と仕入れ

 俺は急いで日本に戻って金を売ろうとした。

 近頃はやりの買取業者や貴金属業者に連絡して、一番高値の店で売った。

 現物を直接持ち込んだのがよかったのだろう、相場通りの価格だった。

 盗品などと疑われる事もなく、208万2300円で買い取ってもらえた。

 だが、同じことを何十何百も繰り返すのは難しいかもしれない。

 盗品だと疑われて警察に通報されてしまう可能性もある。

 最悪を想定して、異世界に逃げて移住する事も考えておこう。


「生ケーキとアイスクリームケーキと料理を寄こすのだ」


 住宅ローンの口座に1年分100万円を入金し、終身共済の引き落とし口座に50万円入金して何とか今年は乗り越えられると思う。

 だが来年以降のためにも、異世界との交易を頑張らなければいけない。

 警察に眼をつけられる前に十分な資金を貯めておく必要がある。

 その為に商品の仕入れを行った。


 25kgで1200円の塩を20袋2万4000円分買った。

 25kgで3870円の小麦粉を20袋7万7400円分買った。

 30kgで8700円の玄米を20袋17万4000円分買った。

 1kgで1978円の粒黒胡椒を10袋1万9780円分買った。

 1kgで2646円の粗挽き黒胡椒を10袋2万6460円分買った。

 1kgで2646円のグラインド黒胡椒を10袋2万6460円分買った。

 1kgで2646円のパウダー黒胡椒を10袋2万6460円分買った。

 別会社の1kgで893円のパウダー黒胡椒を10袋8930円分買った。

 1kgで1152円のパウダー白胡椒を10袋1万1520円分買った。

 廃鶏1500羽を3万円で買った。

 試しに1kgの銅インゴットを6980円で買った。

 5円硬貨と10円硬貨がいくらに評価されるのかも試してみた。


 仕入れに総額43万1990円もかかってしまった。

 サフランも調べたのだが、胡椒に比べて仕入れ価格が高いので止めた。

 いくら販売価格が高くても、利益率の悪い物を仕入れる気にはならない。

 それなら塩や胡椒をもっと多く仕入れるべきだと思った。

 胡椒を色々と調べたのは、一番利益率のいいモノを調べるためだ。

 まずは儲かるモノに限られて資金を投入すべきだ。


「売り物はどうでもいいが、私が食べるためのカレー粉やサフラン、醤油や味噌を忘れるでないぞ、これだけ儲けられたのは私のお陰なのだからな」


 石姫皇女が話しかけてきたが、正直イラっとする。

 確かにその通りなのだが、そもそも宝くじの当たりを教えてくれればいいのだ。

 そうすればここまでお金に苦労しなくてすむのだ。

 そう思っている事は伝わっているだろうが、口に出すのだけは我慢した。

 知られていても口に出さない事が大切だと思う。

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