悪人系主人公小説の傑作
- ★★★ Excellent!!!
まず最初に主張させていただきますが、滅多にレビューを書かない私がレビューを書かせていただこうと思うくらいこの作品は面白いです。
正直、この作品にはランキングに載るポテンシャルはあると思います。
というか、もし書籍化したら購入させていただきます。
しかしながら、タイトルの特徴から“なろう系”だと思って来た人とは合わず、こういう作品を求めている人達からは“なろう系”だと思われてしまい閲覧されず···、といった状況なのかな思っています。
後、この作品の面白さの本領が発揮されるにはある程度読む必要があるのですが、その前に見切りをつけてしまうような方が多いのではないでしょうか。絶対に第1章は最後まで読んでください。そこまで読めば後はどんどんこの作品に嵌まっていくと思います。
(注1 : あくまで個人の見解です)
(注2 : 私はこの作品の信者です(笑))
(注3 : “なろう系”と呼ばれるものを否定する意図はなく、あくまでも作品のジャンルが趣向と一致するか否かについてを述べているだけです)
(注4 : タイトルの特徴とは“~な件”のことです)
と(クソ長い)前置きはここまでにして、本題に入らせていただきます。
まず、この作品の概要を一言で表すと“異世界人狼”という表現が一番しっくり来るかと思います。
この作品のあらすじにある通り、主人公達は異世界に勇者として召喚され、元の世界に戻るには魔王を討伐しなくてはならないという王道展開、と思いきや主人公に与えられた職業は“裏切り者”。“裏切り者”は『勇者が全滅する前に魔王が討伐されてしまった場合、元の世界に帰還できなくなる』。しかも、『成功した場合、望みがひとつ叶えられる』というまさに“裏切り者”というべき職業だったのです。
なかなか便利なスキルこそあるものの、主人公のステータスでは勇者達を真っ向から殺そうとすれば返り討ちに合うのは目に見えている。こんな絶望的な状況普通なら心が折れても不思議ではありません。
しかし、この主人公は人の絶望で喜ぶようなサイコパスだったのです。
表では皆で元の世界に戻るために奮闘する善人を演じながらも、クラスメイト同士を対立させようとしたり、女を堕としたり、一筋縄では行かない者達と決して油断できない頭脳戦をしたり、、、
これだけでも十分満足なのに、ここに面白い設定、そしてそれをより面白くする文章力、巧妙に仕組まれた伏線、所々にあるコメディ要素、そしてまるで生きた人間のような魅力的なキャラクター達、これらが上手く絡み合って最高です。
最後まで読んでくださりありがとうございます。この作品の魅力が伝わっていると幸いです。