転生幼女は教育したい! 〜前世の知識で、異世界の社会常識を変えることにしました〜

Ryoko

アメリア、領主となる

第1話 プロローグ

 私は旅が好きだ。


 人生はくそゲーなんて話も聞くけど、私にとっての海外放浪はリアルRPGだった。


 基本オタクで、日本にいる時には大体アニメ見るか本読むかゲームするかという、完全インドア派の私が、なぜか猛烈に旅に出たいと感じるようになったのは、一体いつからだろう。


 どこかの女の子がおしゃべりするバイクに乗って旅をするアニメを見てからだろうか。


 それとも、もっと昔、大泥棒の恋人がオートバイにまたがって華麗に去っていく姿に憧れてからか……。


 よくは思い出せないけど、高校生の頃にはもう強烈に世界を旅したいという衝動に取り憑かれていたと思う。


 あの気持ちが色々とうまくいかない現実に対する現実逃避だったのかは定かではないけど、変わらずアニメや本、ゲームに没頭するかたわら、私は着々と旅の準備を進めていった。


 高校の勉強は壊滅的になっていたけど、英語だけは真面目に勉強した。


 中国語やスペイン語もちょっとした会話ができる程度にはかじってみた。


 小学生の頃から何となくで祖父と一緒にやっていた太極拳も、体力作りと護身術になるからと真面目に取り組みだした。


『海外で日本文化について聞かれて、何も自国のことを知らないって感じて……』なんて体験記を読んで、思い切って茶道を習い始めたのも高校生の頃だ。


 大学ではそういった旅行準備のかたわら、中学生対象の塾講師や家庭教師をして旅行資金を貯めた。


 ちなみに、中学生の頃は比較的真面目に勉強していた私は、高校に入った頃から完全に阿呆になっていたので、いくら時給が高くても高校生の相手は無理だったのだ。


 あと、バイクの免許も取った! やっぱり旅はバイクでしょ!


 そんなこんなで大学を卒業した私は、周りが就職していくのを尻目に念願の旅に出たのだ。


 旅は、楽しかったと……思う。


 ゲームの中ではよく見かける遺跡や城、砂漠やジャングル、当たり前のようにどこまでも続く地平線。


 正直きつい時もあったし、実際死にかけた時もあったけど……。



 いや、実際に死んじゃったんだよね……私。

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