02 布教中



 立ち寄った町で、ウォルド様が用事をこなすために、いったんパーティー離脱。


 ウォルド様からは「大人しくしてろよ。間違っても人についていこうとするなよ。そんで、道に落ちてる変な物くったりするなよ。露天商に話しかけても無視。あれは詐欺だと思え」と言われたので、おとなしくかかしになってるつもりだったけど、数秒であきてしまった。


 なので、そこのお姉さんちょっと、暇なんで話し相手になってもらえます?


「はい?」

「さぁて、押しの話をしようか」

「はい?」


 私は通りがかった女性を捕まえて、ウォルド様の魅力をたっぷり話聞かせた。


 お姉さんは最初頷くばかりだったけど、次第に目をキラキラさせて先を促すようになった。


「ウォルド様! 素敵!」


 そして結果、見事にファンができましたとさ!


 さすがウォルド様。


 私の押しだけある。


 おっと、そこの君!


 ウォルド様のすばらしさ、聞きませんか?


「ん? 変な人。変な人がいたら、通報してってママがいってた!」


 のーのー。


 変じゃないよー。


 私愛に生きてるだけ。


「ん、愛は大切。ママも愛を持って人に接しなさいっていってた。じゃあ、危ない人じゃない?」

「いえっす」


 さあ。げっへっへ。


 お不況の時間ですよー。


 だいじょーぶ。

 こわくないこわくなーい。


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