スノーフレークと雨

 こうべを垂れる白きそれは、しめやかな雨に花弁を濡らす。


 側溝に溜まる水音がその姿を鏡映しに描き出していた。


 波紋は絶えず、輪郭はぼやけてまとまらない。


 雨音に足音が混ざり込んだ。


 一歩一歩踏み出される足。


 歩みは僅かに散った花弁の前で止まる。


 その先へと視線が向かう。


 ただの花に傘が差し出された。

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400ss 笹霧 @gentiana

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