ストーリーそのものについては、他のレビュアー様が素敵なレビューを多数投稿されておられますので、私からは少し視点を変えて。
作品の根底に人が愛する心があり、それは切々と読み手に編み込まれていきます。
激動の時代、地に伏した多くの命は、何を思って散っていったのでしょうか。
本作の面白さは、転生や、もののけといったオリジナリティに加え、ゆっくりと豊熟していくような深い人間ドラマを、楽しみながら堪能できる、という点にあるのではないでしょうか。作者様が実現されているこの両立は、じつは相当に難しい技術なのではないかと思います。
加えて本作を通して感じたのは、作者様のこの作品への愛と、伴走する息遣い。
「こひびと」ならずも、人同士の愛は時代を超えて、物語という枠をも超えて、このように人々の共鳴を生むということを、本作を読了して感じました。魅力的です。
長期に渡る連載、お疲れ様でした。
本作との出会いを、感謝いたします。
幕末の会津を奔走する。
未来から転生したユイは、愛する会津が血の海になる未来を回避する願いを胸に。
地の乱れから発生する妖《あやかし》を退治する公的機関「もののふ」として、美少女ユイが薙刀で炎まとい、ばったばったと妖を斬り伏せる。
中身は男の子。でも、不思議と、女の子の意識とも融合していき、凛々しさと可愛さ、アグレッシブさが持ち味の主人公となります。
歴史が架空のものとしてではありますが、かなり濃く描かれ、歴史好きも大満足。
会津への郷土愛があふれ、美味しそうなお酒や食べ物に、読んでて、ごくり。
恋愛が。
主人公に熱視線をおくる男たちがいるのですが、ま〜、誰とくっつくのか?! と展開から目が離せません。
そしてね、……恋愛のシーンは熱く、甘く、ロマンチックです。
それでね〜。選ばれなかった「ひと」がもう、切ないのなんの。
それもロマンチック小説の醍醐味ですね。
そう、この物語は、壮大な歴史ドラマで、爽快なバトル物で、ロマンチックな恋愛小説なのです。
私は、終わり方も好きです。
面白いですよ。ぜひ、ご一読を!
現代日本に生きる男子高校生がある日、雷雨の中、衝撃を受けて、目が覚めると……そこには赤髪蒼瞳の美少女・ユイが……って、それは男子高校生の自分だった!?
まさに衝撃のオープニングから、広がる幕末の……と言いつつ、そこは「正史」ではない、少しちがう――異世界のような幕末。徳川ではない、別の家が幕府を開き、舞台となる會津(会津)もまた、松平ではない家が大名となっていた。
話が進むと共に知る、この幕末異世界にうごめく、妖(あやかし)の存在。
そしてその妖を退ける「もののふ」の存在も。
転生と転性をしたユイは、果たしてこの幕末異世界をどう駆けていくのか。
そしてユイは、「正史」では滅ぶ会津を救えるのか。
会津旅情をかき立てられつつ、ユイの今後の軌跡を見守りたくなるこの逸品、おすすめです!